はじめに

2022年に大型の自社株買いを発表した企業

ご存知の方もいるかと思いますが、米国では企業が自社株買いを中心とした株主還元に積極的です。

たとえばiPhoneやMacで有名なアップル(AAPL)は四半期配当の5%増配を発表。配当だけでなく、自社株買いの規模も900億ドル拡大する計画を発表しています。最近ではJPモルガン(JPM)が自社株買いについて、2023年の早い時期に再開する見通しであると伝えられています。

一方日本では、1899年の商法制定から自社株買いが1994年まで禁止されていました。ただ前述の通り、2022年は自社株買いの実施企業数、実施額共に過去最高の見通しです。

冒頭のリクルートのみならず、ルネサスエレクトロニクス(6723)や日立製作所(6501)、富士通(6702)にヤマダHD(9831)など1,000億円超の大型自社株買いも相次いでいます。

日本で自社株買いに積極的な企業というと、個人的にはNTTドコモ(9437)やソフトバンクG(9987)が思い浮かびます。

NTTドコモは今年5月に4,000億円を上限とする自社株買いを発表。ソフトバンクGは2020年に最大2兆円の自社株買いを行うことを発表したことで注目されましたが、2022年も8月に1年間で4,000億円を上限とする自社株買いを発表しています。

2022年の自社株買いの活発さは、コロナ禍も影響しています。コロナ禍で企業は投資を見送ってきたという事情から積み上がったキャッシュが自社株買いに向かっているようです。自社株買いというワードは今後とも市場では注目されそうですね。

自社株買い発表は「買い」材料なのか「売り」材料なのか一概には言えませんが、自社株買いのニュースは株価の下支え、上昇が期待できる材料とはいえそうです。とはいえ、企業分析やテクニカル分析で総合的に判断した方がよいでしょう。

10月24日週「相場の値動き」おさらい

10月28日(金)の日経平均株価は、前日比240円04銭安の2万7,105円20銭と続落。一時前日比300円超安となる場面もありましたが、2万7,000円の大台がサポートとして意識されている印象です。先週末10月21日(金)の日経平均株価は2万6,890円58銭でしたので、週間では214円62銭の上昇となりました。

米7-9月の実質GDP、国内総生産の伸び率は年率換算で2.6%と、3四半期ぶりのプラス成長となりました。カナダの利上げが予想の0.75%に対して0.5%となったことでアメリカでも利上げペースが軟化するのではとの期待感につながっているようです。ECBは10月27日(木)の理事会で政策金利を0.75%引き上げることを決定しています。

10月24日週は米長期金利が下落したことでドル円も円高方向に動きました。前週末、週初と、日銀の介入があったのでは(「覆面介入」が行われた)と考えられるような動きも見受けられます。

2022年7-9月期決算が本格化していますが、マイクロソフトやテキサスインスツルメンツ、アルファベット、メタなど巨大ハイテク企業の決算が軟調でナスダックの重しとなっています。一方、景気の先行指標といわれる建機を扱うキャタピラー(CAT)の決算はEPSが3.95ドルと予想 の3.16ドルを上振れ、売上高も市場予想を上振れました。

10月31日週も、引き続き米長期金利の動きや決算などチェックしていきたいですね。

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