はじめに
ロールオーバー、どう判断する?
一般NISAで投資を始めて5年経つ方のところには、ちょうど秋頃に「ロールオーバーしますか?」という書類が届いています。
これは、一般NISAで運用している株や投資信託について、「そのまま非課税で運用し続けますか?」という書類で、この手続きをしなければ、非課税期間が5年で終わり、5年目の年末時点での利益や損失がなかったことになり、価格がその時点での価値に付け替えられることになります。
そして、NISAではなく一般という口座で運用することになるので、そこから先に得られた利益については税金がかかるということです。「ロールオーバーします」という書類を提出して手続きを行うと、6年目のNISA枠で再び買付をしてくれるので、さらに5年間の運用益が非課税になります。
ロールオーバーすべき人
例えば、一般NISAでも積み立て商品のような安定的に少しずつ利益が増えていくような商品を運用している場合は、利息に利息がつく「複利」の効果を狙うと、長期間非課税で運用した方が大きな利益になる効果が高いので、ロールオーバーしておいた方が有効になります。
また、値下がりして利益が出ていない個別株なども、いま一時的に下がっていてしばらくするとまた価格が上昇して利益が得られそうであれば、ロールオーバーして将来得られる値上がり益に備えるというのも良いでしょう。
逆に、以前は配当金をくれていたのに、配当金をもらえなくなり値下がりしているが、今後も値上がりが見込めないという株については、NISA枠で持っていても利益が見込めない分、節税のメリットも見込めません。そのような株については、ロールオーバーの手続きをせずに、自動的に一般枠に移管されるのを見届けるか、少しでも値上がりしている自分の思うタイミングで売却してしまうのがよいと考えます。
私も株価が下がってしまい、利益が出ていないので売りそびれている5年目の株を、ソワソワしながら株価の動きを見ています。少しでも上がった時に売れたら「なんて……喜ばしい!」なんだけどなぁ、というのは独り言です。
NISAといっても、色々な活用方法があることをお分かりいただけたでしょうか?
制度を正しく理解しておくことで、その活用の幅も広がりますよ。貴重な限られた枠を無駄に使って「なんて……嘆かわしい!」なんてことにならないよう、ご自身のNISA口座はもちろん、ご家族のNISA口座もフル活用できているかどうか、ぜひ確認してみてください。