はじめに
期限内に手続きを行わなかったら年金資産は「自動移管」される
企業型DCの加入資格は、退職日の翌日に喪失しますが、資格喪失の翌月から起算して6ヵ月以内に、企業型DCやiDeCo等に年金資産を移す手続きを、脱退一時金の要件を満たしていれば一時金請求の手続きをしなければなりません。
期限内に必要な手続きを行わなかった場合、企業型DCで運用していた年金資産は現金化され、国民年金基金連合会に「自動移管」されてしまいます。自動移管されると、以下のようなデメリットがあります。
(1)現金化されたまま資産運用されないため、資産を増やすことができない
(2)自動移換の際、手数料が4,348円(2022年11月1日現在、以下同じ)かかる
(3)自動移管されて4ヵ月が経過した時点から毎月の管理手数料(月額52円、年間624円)が差し引かれ、個人別管理資産が目減りする
(4)自動移換された後に転職先の企業年金制度(企業型確定拠出年金、確定給付企業年金)に移管する際に1,100円、個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換する際には3,929円、一時金で受け取る場合には4,180円の手数料がかかる
(5)自動移管されている間は、確定拠出年金の加入者期間と見なされないので、受給資格要件を満たせず受給開始年齢が遅くなる可能性がある
どんな人に年金資産放置の可能性がある?
以前、企業型DC制度のある企業で働いていた方の中には、もしかしたら自分も年金資産を放置しているかもしれない、と思ったかもしれませんね。転職先に企業年金制度がある方は、転職時に前の会社の年金資産を移管する手続きを行ったでしょうか?
また、転職先の企業に企年金制度が無い方や、公務員になった方、自営業になった方、第3号被保険者になった方、まだ退職したままである第1号被保険者の方は、自分で個人型確定拠出年金(iDeCo)の口座を開設し、移管する手続きを行ったでしょうか。
このような手続きを行った記憶がない方は、前の会社の年金資産を放置している可能性があります。
ただし、自動移管を減らすための対策として、転職先での企業型DCや開設したiDeCo口座と、個人情報(カナ氏名や性別、生年月日、基礎年金番号)が一致する場合には、自動的に資産が移管されることになっていますので、自分で手続きをしていなくても年金資産が移管されている可能性もあります。