はじめに

結局、企業型DCで選ぶべき投資信託はどうする?

以上の注意点を踏まえると、企業型DC選ぶべき投資信託は

・低コストのリスク積極型:全世界株、先進国株(外国株)に投資する投資信託

または

・バランスよく増やす投資信託:バランス型(インデックス主体)

です。お使いの金融機関の投資信託のラインナップから、これらに当てはまる投資信託で、信託報酬の安いものに投資するのがおすすめです。

全世界株・先進国株に投資する投資信託を購入すると、世界の国々の成長の力を借りて資産を増やすことができます。世界に投資する株式の投資信託なので、比較的リスクは高いのですが、世界経済が成長を続ける限り資産を増やす期待ができるでしょう。

バランス型は、1本で複数の資産に投資する投資信託です。株式だけでなく債券や不動産なども組み入れているので、より安定してお金を増やす期待ができます。

リスク許容度が高いなら全世界株・先進国株に投資する投資信託、リスクは取りたくないのであればバランス型という具合に、自分が取れるリスクに合わせて選ぶといいでしょう。

企業型DCと併用するのはマッチング拠出?それともiDeCo?

企業型DCには、マッチング拠出という制度があります。マッチング拠出とは、会社が出す企業型DCの掛金に加入者が上乗せして掛金を出すしくみです。

マッチング拠出で加入者が上乗せする掛金は、会社が出す掛金より多くすることができません。また、会社の掛金とマッチング拠出の掛金の合計は、企業型DCの掛金の上限(月額5.5万円または2.75万円)以内となります。

また、2022年10月から、企業型DCに加入している人がiDeCoに加入しやすくなりました。それ以前も制度上は企業型DCとiDeCoを併用することができたのですが、事実上ごく一部の人に限られていました。しかしこれからは、どなたでも併用しやすくなりました。

iDeCoの掛金の上限額は、

・企業型DCのみある場合 月額2万円
・確定給付型企業年金のある場合 月額1.2万円

となっています(なお、企業年金のない会社員は月額2.3万円)。

企業型DCに加えてiDeCoも活用することで、自分の投資したい商品を選びやすくなりますし、所得税・住民税の節税効果も得られます。

マッチング拠出もiDeCoも、老後資金を手厚く用意するのに向いている制度です。しかし、マッチング拠出とiDeCoは併用できません。どちらかを選ぶ必要があります。どちらを選ぶべきかの考え方は、次のとおりです。

(1)会社の掛金が少ないうちはiDeCoを活用する
マッチング拠出の掛金の上限は、会社の掛金額を上回ることはできません。たとえば、会社の掛金が月5,000円であれば、マッチング拠出で本人が拠出できる金額も月5,000円までとなってしまいます。

しかし、iDeCoならば会社の掛金に関わらず2万円(企業型DC以外の企業年金がある場合は1.2万円)まで掛金を出すことができます。したがって、会社の掛金が2万円までであれば、iDeCoを活用した方がたくさん投資できます。

(2)好きな金融機関・商品を選んで運用したい場合はiDeCoを活用する
企業型DCの金融機関や投資できる商品は会社が利用する金融機関によって決まります。そのため、自分の好きな金融機関・商品に投資できません。もし、自分の好きな金融機関・投資したい商品があるのであれば、iDeCoを利用することで投資できます。

ただし、企業型DCでは口座管理手数料の負担はありませんが、iDeCoでは口座管理手数料がかかります。どの金融機関を使ったとしても、口座開設時に2,829円がかかり、毎月171円(年2,052円)は必ずかかります。金融機関によってはそれに加えて月数百円の運営管理手数料がかかることは押さえておきましょう。

(3)会社の掛金が増えてきたらマッチング拠出に切り替える
会社の掛金が2万円を超えてきたら、今度はマッチング拠出のほうが投資できる金額が増えます。自分が投資したい商品が企業型DCにあり、マッチング拠出で掛金額を2万円より多くできる場合は、マッチング拠出を利用したほうがいいでしょう。もっとも、②のように自分の好きな金融機関・商品で投資したいならば、そのままiDeCoを続けても問題はありません。

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