はじめに
「口座を作るため銀行に行ったら、予約なしでは3時間以上待つと言われてあきらめた」
「窓口担当が知識不足なのか、受け答えがたどたどしく、我慢できずに帰ってきた」
これは銀行、特に窓口の応対に対する不満の口コミです。
私は勤続30年の銀行員で、皆さんの役に立つ情報提供がしたいと記事を書いています。記事執筆に向け調べている中で、こうした銀行への不満の声を見つけ、なんとも忸怩たる思いです。
銀行のサービスは変わったのか?
それはどのような変化なのか?
今回はこうした銀行業界のトレンドから「銀行の窓口」と「通帳」について、“銀行の中の人”が解説します。
銀行業界のトレンド(1)窓口
まず銀行窓口についてです。銀行窓口は減少傾向で、これからも続いていくでしょう。ネット銀行の隆盛も一つの証明ですが、銀行窓口に行く用事自体がどんどん減っているからです。そして銀行窓口で取り扱う業務も昔とかわりましたし、これからも「儲かる仕事だけ受け付ける」方向に舵を切り続けていくでしょう。
窓口業務は銀行にとって儲からない仕事
最近の銀行では、「通帳と印鑑で払い出し」「税金や公共料金の支払い」「釣銭の両替」といった昔からある窓口業務も、どんどん機械化され、また手数料がかかるように変わっています。これは銀行も営利企業なので、顧客に対応したなら何かしらの利益、つまり儲けの種が必要になります。そこで「昔からやってきた儲からない仕事は、手数料を取ることにした」わけです。
来店予約が必要になった背景
来店予約が必要になったのも同じような理由で、来店客の目的を事前に知ることができるので、儲からない仕事は窓口業務のパートタイマーの方や派遣社員の方に応対してもらいます。そして富裕層や相続提案ができそうな顧客は銀行員が対応しようと、それこそ「手をこまねいて待ち構えて」いるのです。
例えば資産運用提案ができそうな顧客が来店する場合、銀行員に対応するよう連絡が入ります。すると対応する銀行員は、来店されるお客様の資産状況などを事前に把握し、準備万端整えて待っているというわけです。
銀行窓口で来店予約が必要になったのは、一つはコロナ禍の新しい生活様式もその理由ですが、上記したように「銀行が来店客を選別するため」でもあるのです。