はじめに

業績相場

金融緩和が景気の回復や企業業績の改善で、株高を牽引する相場のことを「業績相場」と言います。不況時に落ち込んだ業績の回復が見込まれるため、景気拡大でメリットを受ける業種の株価が上昇しやすくなります。

逆金融相場

景気や企業業績の拡大は続いているものの、中央銀行の金融引き締めにより景気後退の兆候が見え始め、株価が下落し始める時を「逆金融相場」と言います。米国連邦準備制度理事会(FRB)は2021年11月上旬に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、米国債を月800億ドル、住宅ローン担保証券を月400億ドル購入している量的緩和策について、当月から米国債100億ドルと住宅ローン担保証券50億ドル、毎月150億ドルずつ減額すること(テーパリング)を決めました。

企業業績の頭打ちや悪化が見込まれる逆金融相場では、景気変動に敏感なセクターの株価は下落しやすくなります。一方、電気・ガスなどのインフラ、生活必需品など日常生活に欠かせないモノやサービスを提供する企業には、一定のニーズが存在します。景気後退期でも需要が落ち込むリスクが相対的に低いと考えられるため、このような業種に資金が向かいやすくなります。

また、金利が上昇しても業績に影響が出にくい無借金企業など、バランスシートが健全な企業が上昇しやすくなります。

逆業績相場

金融引き締めにより景気が後退し、企業業績や消費が落ち込み、本格的な下落トレンドとなることを「逆業績相場」と言います。前述の逆金融相場と同様に、景気と業績の連動性が低い医薬品やインフラ、生活必需品といったディフェンシブセクターに資金が向かいやすくなります。また、高金利でメリットを受ける銀行、保険会社などの金融セクターも注目されやすくなります。

金融緩和政策発表がされた当日の後場、銀行株は高値をつけました。三菱UFJ(8306)は前日比9.6%高となりなりました。三井住友(8316)も8.9%高、みずほ(8411)も約7%高と、日経平均株価が下落する中で急騰し、銀行セクターは軒並み高値となりました。逆金融相場は中長期的に見ると優良株の仕込み時とも捉えられます。


相場は景気と金利の動向により、4つの相場局面で循環することが多いですが、1つのサイクルの長さや上昇・下落の大きさはさまざまです。そして、サイクルが変化するきっかけは中央銀行や日銀の金融政策です。金融政策決定会合や米雇用統計などの重要経済指標をチェックし、トレンド転換に乗り遅れないようにしたいです。

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