はじめに

読者の方で「日経ダブルインバース」または「日経レバレッジ」のETFの売買をしたことがある投資家もいらっしゃると思います。ただ、1月10日(火)からレバレッジ商品等の信用取引に係る「委託保証金率」の見直しが行われる事をご存じの方は、どのくらいいらっしゃるでしょうか?


金融庁も注意喚起するレバレッジ型・インバース型ETF

簡単にこの商品を説明すると、「日経ダブルインバース」は、インバースETFを買った場合には、日経平均株価が下がれば利益が出る仕組みです。ダブルインバースは株価指数に対して「ダブル = 2倍」の値動きを目指す商品です。

逆に「日経レバレッジ」は、ETFを買った場合、日経平均株価が上がれば利益が出る仕組みで、ダブルインバース同様に株価指数に対して「ダブル = 2倍」の値動きを目指す商品です。

ただし、この商品を正確に理解している投資家は少なく、2021年6月30日(水)に金融庁から「レバレッジ型・インバース型 ETF 等への投資にあたってご注意ください」と題した注意喚起のレポートが出されました。一部の投資家の方にはとても人気のある運用方法ですが、取り扱いを間違えると資産を失いかねません。どのような仕組みの商品なのかもう少し説明します。

レバレッジ型・インバース型 ETFとは、日経平均株価やTOPIXなどのベースとなる指標の(主に)2倍の値動きになるように設定されている特徴があります。株価が上昇するであろうと考え思惑通りに上がれば上がった分の倍の利益が得られる仕組みです。

ですが反対に値下がりしてしまった場合には損失が2倍となってしまいます。痛手ではありますが、ここで取引を終了し決済してしまえば話は単純明快なのです。問題は日を跨いで持ち越してしまうことにあります。

基準日(購入した日/1日目)を100とした場合に20%値を下げて取引が終了すると指数は80、レバレッジ型は2倍の損失で60になります。翌日(2日目)さらに25%下落した場合、指数は60、レバレッジ型は2倍の損失で30となってしまいます。基準日の100から換算すると指数はマイナス40なのに対してレバレッジ型はマイナス70と驚くような損失の拡大です。

画像:金融庁「レバレッジ型・インバース型ETF 等への投資にあたってご注意ください」より引用

わずか2日間で、この様な展開になってしまうことも否定できない商品銘柄であることをご存知でない方が多いのが現状です。金融庁のレポートには「レバレッジ型・インバース型ETF等は主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品であり、投資経験が浅い個人投資家の方が資産形成のためにこうしたETF等を投資対象とする際は取引の仕組みや内容を十分理解してほしい」と内容をまとめています。

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