はじめに

資産運用詐欺に引っ掛からないようにするには、金融の世界におけるルールをある程度、覚えておくことも大事です。なぜなら、詐欺を働く連中は、ほぼ間違いなくこの手のルールに抵触する部分を持っているからです。


元本保証・確定利回り?

最近は、ほとんど見かけなくなったのですが、昔の資産運用詐欺は「元本保証・確定利回り」をうたい文句にした商品が大半でした。これは日本人の資産運用に対する好みをうまく突いたものといって良いでしょう。

日本の金利はかれこれ20年くらい、非常に低い水準で推移しています。定期預金で年6%などという高金利時代を知っている人たちからすれば、この超低金利は「許しがたい」ということになるのかも知れません。2000年前後、日本の金利水準がどんどん下がっていくなかで現れた資産運用詐欺の多くが、元本保証と確定利回りを全面に打ち出していました。

でも、不特定多数の人から「元本保証」を提示してお金を集めることができるのは、じつは銀行や信用金庫、信用組合、農協、労金といった銀行だけなのです。それ以外の企業が元本保証をうたって資金を集めた時点で、それは「出資法違反」に問われます。

最近は、それが多くの人に広まったせいなのか、元本保証をうたってお金を集めるケースが減ったように思えます。

その代わり、よく使われているのが「元本確定型」といった言葉ですが、これも怪しい話です。見極めるのに困った時は、どの程度の利回りを提示しているのかをチェックしましょう。今どき、元本確定を標榜しながら年3%、あるいは4%という利回りを確定で出せる金融商品は、ほぼ皆無です。「元本確定」などといった言葉に踊らされてはいけません。

登録されていますか?

近年、資産運用詐欺のなかで最も増えているのが「集団投資スキーム」、つまりファンドを騙った詐欺事件です。ちなみに集団投資スキームによる詐欺事件の被害額は、2020年が119億1684万円でしたが、2021年は910億4409万円となっています。

集団投資スキームとは、ファンドを通じて有価証券や事業に投資することで運用し、そこから生じた収益を配分する仕組みを商材としたものですが、この手の仕組みの営業をされた場合は、その会社が投資顧問業に登録しているかどうかを確認してみてください。不特定多数の人からお金を預かり、運用することを業にするためには、金融商品取引法によって投資運用業の登録をする必要があります。

日本投資顧問業協会のホームページには、同協会に加盟している会員会社の一覧がありますので、それが参考になるでしょう。ここに掲載されている会社であれば、ひとまず安心できますが、掲載されていない会社からアプローチを受けた場合は、詐欺会社である恐れがありますから、話を聞かないことをお勧めします。

なお、投資運用業として登録するためには、必要な要件があります。たとえば「株式会社であること」や「取締役会設置会社であること」などの他に、財産要件として資本金及び純財産額が5000万円以上であることや、決算内容が良好であること、なども求められます。つまりこれらの要件をクリアしている会社でなければ、投資運用業として登録してもらえないのです。

これらの要件は、人を騙そうと思っている連中からすればいくらでも改ざんできるものではありますが、参考材料のひとつとして覚えておいて損はないと思います。

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