はじめに
大手企業が賃上げ努力も…水を差す消費増税発言
一方、ファミリーレストラン大手のサイゼリヤは値上げをしないと発表しました。原材料価格の高騰が続く中、売上がコロナ前の95%まで回復していて、業務の効率化を進めることで、価格の維持は可能としました。
またユニクロを展開するファーストリテイリングは国内従業員の年収を最大で約4割上げると発表しました。物価高に直面する従業員の生活に配慮する考えです。さらに、サントリーHDは月収で6%の賃上げを検討しています。三井住友FG、大和証券なども春闘で賃上げの検討を表明しています。キヤノンは1月からベースアップを実施、セコムは昨年2022年11月から物価高に応じた臨時のベアを実施しています。
この様に企業側が努力する動きを見せている中、岸田総理は防衛費増額の財源として、2027年度には1兆円あまりを増税で確保し、来年度から5年間で43兆円に増額する方針です。内訳は2022年度当初予算5兆4,000億円から1.6倍超に相当し、年間では最終年度の2027年度に8兆9,000億円程度になるとしています。
また少子化対策の財源を巡り自民党甘利明前幹事長からは、出演したテレビ番組で消費増税を検討する発言が出たと報道されています。この発言にはかなりネガティブに反応した方が多かったのではないでしょうか? 私もその一人です。この様な政府の状況で、子どもを生み育てたいと思う人が本当に増えるのか、疑問に思わずにはいられません。
せっかく企業側がベースアップの努力を講じようとしているにも関わらず、政府が消費増税を唱えていては、景気悪化は避けられないと感じます。なお、甘利氏は自身のTwitterで「断片的事実を繋ぎ合わせる報道」であり「ミスリード」と報道内容を否定しています。
防衛費や少子化対策は必要と感じますが、2022年度の一般会計税収が68兆3,500億円余りと過去最高だった2021年度実績を上回り、当初の見通しの税収65兆2,350億円を、3.1兆円上振れする見込みとなっています。過去最高の税収の使い道の検討も行われるべきではないかと思います。