はじめに

③所得控除合計額

所得控除合計額とは、「所得から差し引かれる金額」に相当する部分です。具体的には源泉徴収票に記載のある社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、扶養控除、障害者控除、寡婦・ひとり親控除に基礎控除48万円を合計した金額になります。

④源泉所得税額

源泉所得税額は、給与から差し引かれて年末調整で精算された所得税の金額です。他に収入がなく特に確定申告の必要がない会社員の方であれば、源泉徴収税額がその年分に納税した年間の所得税になります。

源泉所得税額は、以下(1)から(3)の流れで計算します。

(1)②給与所得控除後の金額から③所得控除合計額を差し引いた金額(=課税される所得金額。1,000円未満切り捨て)に税率をかけ、控除額を差し引いて税額を算出します。
具体的には以下の計算式によります。

画像:国税庁「No.2260 所得税の税率」より筆者作成

(2)⑩住宅借入金特別控除額がある場合は1から差し引く

(3)(2)に復興特別所得税2.1%を足す

なお、中途退職などで年末調整がされていない場合は、確定申告による所得税の精算が必要です。

⑤(源泉)控除対象配偶者等の有無等

配偶者控除の対象の有無に関する欄です。

・「有」は通常の配偶者控除で、控除額は納税者本人の所得に応じて最高38万円です。
・「従有」は別の給与で配偶者控除を受けていることになります。
・「老人」は年末時点で配偶者が70歳以上の人。最高48万円の控除額になります。

配偶者控除は、本人の合計所得金額が1,000万円以下で、合計所得金額が48万円以下である配偶者(同一生計配偶者)がいる場合に適用されます。

画像:国税庁「No.1191 配偶者控除」より筆者作成

⑥配偶者特別控除の額

配偶者に48万円を超える所得があり、配偶者控除の適用が受けられない場合に配偶者の所得金額に応じて所得控除が受けられます。これを配偶者特別控除といいます。本人の所得と配偶者の所得に応じて1〜38万円の控除が受けられます。

⑦控除対象扶養親族の数

扶養している親族(年齢16歳以上)の人数が区分ごとに記載されます。配偶者は除きます。

・特定:特定扶養親族。年末時点で19歳以上23歳未満の人
・老人:老人扶養親族。年末時点で70歳以上の人
・その他:一般の控除対象扶養親族。上記2つに該当せず年末時点で16歳以上の人

従人は、別の給与で控除を受けていることになります。控除額は以下の通りです。

画像:国税庁「No.1180 扶養控除」より筆者作成

⑧16歳未満扶養親族の数

16歳未満扶養親族には扶養控除がありません。そのため所得税の計算には直接影響する欄ではありませんが、住民税の非課税基準を判定する際に必要です。

⑨社会保険料等の金額

給与から差し引かれた健康保険、年金、介護保険、雇用保険などに加え、年末調整の際に会社に提出する「保険料控除申告書」に記載した社会保険料の合計額です。

⑩住宅借入金等特別控除の額

前年までに住宅借入金等特別控除の確定申告書を提出している場合は、ローン残高等に応じた住宅借入金等特別控除が受けられます。

住宅借入金等特別控除は税額控除になるため、「住宅借入金等特別控除の額」が算出税額から直接差し引かれます。扶養控除などよりも所得税を安くする効果が絶大というわけです。

源泉徴収税額が0円の場合は、住宅借入金特別控除の額が余っている可能性があります。その際は余った分を住民税から差し引きます。


かいつまんで説明しましたが、さらに詳しく知りたい方は国税庁のウェブサイトにある「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」「源泉徴収のしかた」などをご参照ください。

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