はじめに

負け組代表:良品計画の決算内容

2023年1月6日(金)に発表された、2023年8月期第1四半期決算を確認しましょう。

画像:良品計画「2023年8月期 第1四半期 決算短信」より引用

売上は①136,948(百万円)、前年同期の売上②122,946(百万円)に対して③+11.4%の増収です。営業利益は、④5,021(百万円)、前年同期の営業利益⑤11,147(百万円)に対して⑥-54.9%の減益です。前年度より売上が伸びているのに、営業利益が減っているのは、より多くの費用が出ていったことになります。

決算説明会資料によると、営業総利益(売上総利益にあたる)が、営業収益(売上高にあたる)対比で前期より⑦-2.9%と低下。要は原価率が上昇したということです。

画像:良品計画「2023年8月期 第1四半期 決算説明会資料」より引用

また販管費率は、前期差で⑧2.5%上昇しており、営業利益率が悪化していることが分かります。決算説明会資料には「急激な円安と原材料高に伴う仕入れコストの上昇により、国内の営業総利益率が想定以上に低下し、営業利益は減益」(出典:良品計画「2023年8月期 第1四半期 決算説明会資料」)と理由が書かれていました。

為替の変動や原材料高という悪条件は、アダストリアも同じです。おそらく運営の効率化や、在庫コントロールなどの企業努力は良品計画も行なっているのではないでしょうか? 明暗を分けたポイントを紐解いていきましょう。

明暗を分けた決定ポイントは?

良品計画は、2022年12月26日(月)に、一部商品の値上げを発表しました。言い換えれば、それまで価格は据え置きしていたということです。アダストリアは、すでに原材料費や人件費の高騰は、商品に価格転嫁できていました。それが明暗を分けた大きなポイントだと考えます。

アパレル業界だけではなく、あらゆる業種で、価格転嫁できる企業とできない企業が分かれてきています。日本では長くデフレが続いているので、企業は値上げに対してかなり消極的です。

1月16日(月)に発表された12月の国内企業物価指数は、前年比10.2%と大きく上昇しているのに対して、消費者物価指数は、前年比で4%程度。企業の価格転嫁が進んでいないことが表されています。

そんな中でも値上げができているのは、付加価値の高い商品を持つ企業です。じつは、無印良品や、ユニクロが提供しているシンプルな衣服は、部屋着に最適ということでコロナ禍で人気が高まりました。ところが逆に、自由に外出できるようになると“シンプル疲れ”の反動で、デザイン性の高い、個性的な洋服が選ばれるようになったそうです。

実際、無印良品は、価格は据え置きでも、既存店の売上高は前年割れしています。ということは、私たち消費者は価格だけで選んでいるのではなく、高くても払う価値があるものを選んでいるのです。そういった消費行動の変化を素早くキャッチできた企業が、インフレ局面でも勝ち残っていけるのではないでしょうか?

良品計画の値上げに対する消費者の評価がどうなるか、今後の動向が楽しみです。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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