はじめに

お金を増やす方法はいろいろありますが、資産形成期、特に貯蓄に回せるお金が少ない時期は選択肢が限られてきます。優先順位は概ねつみたてNISA・iDeCoとなるので、貯蓄金額に回せるお金が月5万円であれば、預貯金・つみたてNISA・iDeCoの配分で終わってしまいがちです。

以前の記事で、月5万円投資する場合の投資のロードマップを詳しく紹介しましたが、今回は、月5万円以上に貯蓄ができる場合や、すでにある程度余裕資金がある場合の投資戦略を考えていきたいと思います。


■投資の基本は「コア・サテライト戦略」

投資は、お金が増える可能性が一方で、減る可能性もあります。その「減る可能性」を減らし、安定的に増やすためにぜひ取り入れたい投資戦略として、以前の記事でも「コア・サテライト戦略」を紹介しました。コア・サテライト戦略では、自分の資産を守りの「コア資産」と攻めの「サテライト資産」に分けて運用を行い、お金を減らさずに増やす運用を目指します。

生活費の6ヶ月~1年分ができたら、コア・サテライト戦略を実践してさらにお金を増やしていきましょう。

ここからは、「月5万円のコア資産の積み立てができている人が次に目指す投資」として、積み上げていくべきコア資産と、お金をさらに増やすためのサテライト資産の投資先の候補を紹介していきます。

■コア資産の積み上げ(1)つみたてNISAとiDeCo

つみたてNISAもiDeCoも、投資で得られた利益にかかる20.315%の税金を非課税にできる制度です。そのうえ、iDeCoでは掛金が全額所得控除できて、所得税や住民税の負担を減らせます。こうした非課税のメリットは、他の金融商品にはないのですから、最優先で活用したいところです。

つみたてNISAは毎月約3.3万円(年40万円)、iDeCoは毎月2.3万円(年27.6万円・企業年金のない会社員の場合)まで投資できます。まずはこの2つの投資を上限まで取り組みましょう。

なお、こちらも以前の記事で紹介したとおり、2024年からは新しいNISAの制度が始まります。まだ確定していませんが、新しいNISAでは、投資可能期間が恒久化され、非課税期間が無制限になり、年間の投資額が120万円(つみたて投資枠)+240万円(成長投資枠)までとなったうえ、生涯投資枠1,800万円となるなど、大幅に拡充される予定です。新しいNISAのつみたて投資枠では、毎月10万円ずつ投資することも可能です。非課税の制度を優先して使うといいでしょう。

■コア資産の積み上げ(2)個人向け国債

2022年はインフレが急速に進みました。2022年12月の日銀・金融政策決定会合では事実上の「利上げ」となる長期金利の変動許容幅の拡大を発表。にわかに金利の上昇局面が訪れつつあります。

インフレや金利上昇に備える投資先のひとつとして、個人向け国債があります。個人向け国債は、国が発行している債券(国債)を、政府が個人でも買いやすくしたもの。金融機関で1万円から購入できます。個人向け国債を持っていれば、年に2回利息が受け取れるうえ、満期になると貸したお金が返ってきます。

個人向け国債には、満期までの期間と金利のタイプによって「固定3年」「固定5年」「変動10年」の3種類が用意されています。おすすめは「変動10年」。変動10年は、利息が半年ごとに、そのときの実勢金利をもとに見直されるため、金利が上がることでもらえる利息も増加。インフレにも比較的強い商品です。

実際、2023年2月発行の個人向け国債変動10年の金利は0.33%と、前月の0.17%のほぼ倍にあたる金利となっています。今後も金利が上昇するならば、変動10年を買っておくことで、もらえる利息も増えていきます。逆に、仮に金利が下落したとしても、変動10年の金利は0.05%より下がりませんし、中途解約したとしても直近2回の利息が差し引かれるだけですので、元本割れのリスクもほぼありません。

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