はじめに
お金のことは言い出しにくい、けれど夫婦で話し合う大きな理由
「病気になったら協力し合えるのでは?」というイメージもありますが、病気に対しての捉え方や、今までの夫婦関係、家計のルールの積み重ねもあるため、病気になって大変だから、となかなか言い出しにくい方もいます。お金に関しては特にその傾向が強く、Aさんのように家族に心配をかけさせたくない、できれば話し合うことで関係性が悪くなるのを防ぎたいという思いを抱えている方もいます。
※編注:初出時、誤字がありました。
しかし、今までには考えられないほどの収入が減り、医療費がかかっている状況では、夫婦どちらか一人だけでの改善では、根本的な解決が難しいことがあります。お子さんの教育費なども含めた今後の生活設計を全体的に考えていくこと、そして夫婦で財布を一つにし、固定費の中でも金額が多くかかる項目から優先的に見直していくことが、家族全員の生活の安心には必要です。
「いま関係がこじれてまで話し合わなくても、何とかなるんじゃないのか?」「もう少し深刻になってからの方が話しやすいんじゃないのか?」と思うかもしれませんが、本格的に困った時に今と同じ解決策が選べるかはわかりません。物事を変えるためには、【お金】と【時間】が必要なのです。
がん患者さんの相談を専門に行っている筆者の考えとしては、先送りにしてもまた同じように悩むことになりそうであれば、本当に困る前に話し合うことをお勧めしています。
家計の見直しというと、どこをどう見直せばいいかというノウハウが注目されがちですが、見直し実行のための「夫婦間の思いのすり合わせ」が何よりも重要だと実感しています。