はじめに
「自分」を主語にしてつくる自分業(1)お客さんをつくる編
私は兼業農家のような「収入の柱を複数持つスタイル」を目指しています。今のところ、大きくこけてはいない(ここがポイント。「成功しているよ!」「いくら儲けた!」などの情報はない)ので、自分業を始めようとしている、もしくは始めたけれどうまくいかない方向けに、自分業をつくっていくにあたって大事なことをまとめてみます。
では、ここでクイズです。自分業を始めるときにもっとも大事なことは何でしょうか?
ドラドラドラ……(太鼓ね)
答えは「(その自分業を)継続できるか」です。 いくら儲かりそうでも、やりたくないことは続きません。売り手があなた1人しかいないので、継続しないと事業が消えてしまいます。そのため、主語を「顧客」ではなく「自分」にして、「やりたい」「苦痛じゃない」ことにしたほうが続きます。
では、次の質問。仕事においてストレスナンバーワンとなる要因は何でしょうか?(平成26年版厚生労働白書より)
ドラドラドラ……
答えは「人間関係」です。 人間関係でストレスを抱えないことが、事業を継続させるためには重要だということです。つまり、自分が「付き合いたい人」を顧客にする。自分と合わない人は寄ってこないよう自分業を組み立ててみるのです。
「顧客」ではなく「自分」を主語にする
「何か」を売るとき、多くのビジネス本は「顧客」を主語にして話が展開していきます。しかし、1から仕事をつくる場合、「顧客」を主語にするとうまくいきません。それではどうすればいいのか。答えは「自分」を主語にすることです。
• 「顧客」が主語……「顧客」が何を望んでいるのかを聞いて、それに応えていく。
• 「自分」が主語……「自分」がどうしたいかを明確にして、サービスを設計していく。
顧客を喜ばせるために「やったらいいこと」はたくさんあります。しかし、1人でスタートする場合、それらを全部やっていると、売上は上がっても負担がどんどん増えるため、ビジネスそのものを継続できません。さらに「顧客」が「自分」と合わないと、売る気も工夫もフォローもしたくなくなり、ストレスになっていきます。
有名なエステサロンのオーナーさんが、「施術は楽しいけど、お客さんの対応に疲れて、現在は施術をしていない」と話していました。オーナーになれたらそれでも問題ないかもしれませんが、そこに辿り着くまでの道はけっこう険しいですよね。
そこでまずは、「自分」を主語にして考えてみることをおすすめします。ちまたにある「ペルソナ(顧客像)」のつくり方は、私には全然しっくりきませんでした。確かに、ペルソナとなるその人は「困っていること=不満、不安、不便」があるのでしょう。でも、その人の不満を解決することに私は喜びを感じるのか?というと、感じない。「音声コンテンツをつくりたい人のコンサルをやったら儲かりますよ!」と言われても、私はやりません。ペルソナははっきりしていますが、私が心地よくないからやらない。
「自分」を主語にすると、顧客像として「一緒にいたい人」「ストレスなく会い続けられる人」が浮かんできます。「顧客」が主語のペルソナではなく、「自分」が主語のペルソナを考えることが大事です。
どうやって「顧客= 付き合いたい人」を探す?
次の2つの質問に答えてください。イメージが湧きやすいように、私の答えを例として挙げておきます。
【あなたが一緒にいたいのはどんな人?】
• 自律、自立している人(他者に依存しない)
• 自分で試す人(「できない」ではなく、「どうやったらできるか?」を考える)
• 変化を恐れない人(「やってみよう」のハードルが低い)
• 急に怒らない人(感情コントロールができている)
• 仕事をしている人(経済的自立をしている)
• パートナーの許可がいらない人(自分の行動に他人の許可が必要な人は難しい)
• 細かくない人(正確にいうと細かいポイントが合う)
こうやって列挙していくと、「私はこういう人が好きなんだ」とわかります。しかし、これだけでは成立しないので、ビジネス的観点も入れていきます。
【あなたの自分業が成り立つのはどんな人?】
• 自分の収入がある人(自分のお金のコントロール権がある人)
• 自己投資意欲がある人(自分のためにお金を使う意欲がある人)
• 生活費ではなく、余興費として自分に予算がある人(生活費を握りしめてこられると、
本来の生活を圧迫するのでよろしくない)この2つの答えを重ねると、「自立していて、経験や学びにお金を投資する意欲のある人」が浮かんできます。
え! これ私やん!(関西弁)
そうです。結局、私の場合は「自分と同じような人」が一緒にいたい人(=「自分」が主語のペルソナ)なのです。自分も学びたい、変化したいと思って行動している「自分と同じような人」に何かを提供したいのです。
【私の結論】
ペルソナはちょっと前の「自分」(今の自分が知っていることを知らない、ちょっと前の自分)
「自分」が主語のペルソナが明確な場合、自分の商品やサービスを紹介する際に「〇〇な人に役立つ」と明記できます。同時に「〇〇な人には向いていない」も書きやすくなります。発信するメッセージがブレにくくなるため、「合わない人」が寄ってこなくなり、寄ってきたとしても遠ざける基準が明確になります。商品やサービスを売らない、断るなど、対処できるようになります。
私のヨガ(ポスパム)は、ターゲットを明確にしているので(30〜40代女性。忙しい毎日に、少しでも自分のための良い習慣がほしい人)、サービス購入者のクレームが少ないと感じています。
はい。皆さんも「自分」が主語のペルソナとして思い浮かんだ人を書いてみてください!
• あなたが一緒にいたいのはどんな人?
• あなたの自分業が成り立つのはどんな人?
両方の答えを満たす人=自分業のペルソナです。こういった人を相手にしていくビジネスを考えたほうがいいのです。なぜなら、その人があなたにとって「心地よい」「ストレスがない」人だから。それによって、継続率が高まります。
大企業のように「多くの人」を相手に「大規模な利益」を得るビジネスをしたいわけではない。そんな人こそ、自分がストレスを感じない顧客像を明確にするって本当に大事です。