はじめに
家事関連費の区分の例
(注)国税庁より、自宅で民泊を行っている場合の必要経費の取り扱いが公表されています(「住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業により生じる所得の課税関係等について(情報)」)。その計算方法を参考にしますと、自宅兼事務所の諸費用について業務用部分を区分する際は、次のような計算式となると考えられます。
スキルアップのための費用は?
副業のスキルアップをして、いつか独立…と考える方も少なくないでしょう。資格取得のための費用は経費となるでしょうか?
所得税基本通達37-24において、「業務を営む者またはその使用人がその業務の遂行に直接必要な技能または知識の習得または研修等を受けるために要する費用の額は、習得または研修等のために通常必要とされるものに限り、必要経費に算入する」とあります。
これによりますと、スキルアップの費用はすべて必要経費となりそうですが、過去の裁判例を見ますと、例えば「整骨院の事業主が支払った自身の柔道整復師の専門学校の授業料」(令和元年大阪地裁)や「宅地建物取引業を開業するための宅地建物取引主任者資格の資格取得費」 (平成27年4月14日)、「歯科医師が学位を取得するために大学院の博士課程に通った入学金・授業料」(平成13年9月27日)などは必要経費として認められていません。
なかなか線引きが難しいのですが、「生涯にわたって収入を得ることができる業務独占資格を取得するためのもの、一身専属権的なものに対するもの」は必要経費と認められず、業務を行うにあたり直接必要な範囲の習得費や研修費に限り必要経費として認められることとなります。悩ましいときは税理士か税務署にご相談することをお勧めします。
確定申告が必要でない場合
1か所から給与等の支払を受けている給与所得者で、その給与について年末調整が行われている場合は、副業所得(=収入金額-必要経費)が20万円以下であるときは、原則として確定申告をする必要はありません。
ただし、給与所得や退職所得以外の所得金額の合計額が20万円以下であっても、例えば、医療費控除の適用を受けるための還付申告を行う場合には、給与所得だけでなく、その20万円以下の所得も併せて申告をする必要があります。