はじめに
障害状態とは?
障害給付請求の要件は、先に述べたように4種類ありました。それぞれに等級などが記載されていましたが、実際これらはすべて単純にリンクするものではありません。例えば障害者手帳を持っているけれど、障害年金は受け取っていない、あるいはその逆のようなことも起こりえます。また手帳の名称や等級判定などが、発行する自治体によっても異なるという注意事項もあります。
つまりiDeCoの障害給付は、4つの受給要件のいずれかに該当すれば請求できるのですが、そもそもその4つの要件いずれかに該当するかどうかは、公の機関へ別途申請が必要ということです。障害年金の窓口は年金事務所ですし、手帳(身体障害者、療育、精神障害)は各自治体が窓口です。また障害年金は年金給付ですが、手帳は自治体による支援サービスなどを受けるものです。
一例として、障害基礎年金の受給要件を見てみましょう。障害年金は、公的年金の保険料納付要件を満たすかどうかがチェックされます。
まず、年金に加入しなければならない義務期間において、3分の2以上保険料を支払っていることが必要です。保険料納付免除を受けている期間は、保険料を支払った期間とみなされますが、未納期間が長いと障害年金の受給ができないこともあります。
ただし、初診日の前日までの1年間に保険料の未納がなければ、特別に受給を認めるというルールもあります。できるだけわかりやすくするために、幾分言葉を変えてお伝えしていますが、とにかく国民年金の保険料未納期間には注意ということです。なお、20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。
初診日とは、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師の診療を受けた日となります。そして、そこから原則1年6ヵ月を経過した日を判定日と言います。例えば、事故で大変なけがを負い、その病状が固定した場合は1年6ヵ月をまたずに判定されます。
障害年金は、その等級に応じて金額が異なります。等級は状態で判定されるため、この病気なら何級と決まっているわけではありません。あくまでも目安として、1級は他人の介助を受けなければ身の回りのことができない状態といわれています。2級は日常生活が著しい制限を受けるか、制限を加えることを必要する程度と言われています。
障害基礎年金は、初診日に国民年金に加入していた方が受けられる年金で、1級に該当すると約100万円(老齢基礎年金満額×1.25)が受けられます。18歳までのお子さんがいれば、その加算がつきます。2級は約80万円(老齢基礎年金満額)で、1級同様18歳までのお子さんがいれば、その加算がつきます。
初診日に厚生年金に加入していた方は、障害基礎年金に上乗せで障害厚生年金も受給できます。障害厚生年金の金額はその方の厚生年金加入状況(年収に応じた保険料支払状況や厚生年金加入期間)に応じて異なります。また条件を満たせば配偶者の加算もあります。
障害厚生年金には1級、2級のほか、3級または障害手当金もあります。等級は1級が最も厳しい状態なので、厚生年金加入者の場合障害年金の受給に該当する病状の範囲が、国民年金のみに加入している方より広いことが分かります。
ただし、iDeCoの障害給付の請求は障害基礎年金受給者なので、障害厚生年金3級または障害手当金を受けている方は該当しません。
ちなみに、障害年金もiDeCoの障害給付金と同様全額非課税で受け取ります。障害年金は病状が回復などして等級に該当しなくなると、年金がストップしますが、iDeCoの障害給付金は一度支給を受けると、障害の状態が回復しても受け取り続けることができます。また、国の障害年金のように、障害の等級などによって金額が減額されることもありません。これは確定拠出年金は、加入者本人の固有財産であるという解釈からです。