はじめに

ライフプランを考える上で、障害リスクとどう向き合うか

筆者はファイナンシャルプランナーとして、さまざまな方からライフプラン相談をお受けしていますが、障害は想像以上に身近なことだと感じています。障害には、身体的な障害、いわゆる外見からも理解できるような障害のほか、内科的な障害をお持ちの方もいらっしゃいますし、精神の障害認定を受けている方もいます。

その中で、障害を負っても人生の経済的豊かさのために、前向きに頑張っていらっしゃる方が、たくさんいるということも理解しています。障害年金を受給しながら働いている方も少なくありません。

そして確定拠出年金は、国民の経済的豊かさに貢献するという大きな役割を担っており、また障害があってもなくても等しく国民すべてに与えられた権利だということです。

それを象徴するかのように、iDeCoは法定免除者も加入が認められています。法定免除とは障害基礎年金1級、2級を受給している方や、生活保護を受けている方を指しますが、届け出ることで国民年金保険料の支払が免除されます。

法定免除の期間は、将来受けられる年金額の計算に反映されますが、それでも満額が反映されるわけではなく、保険料納付者の年金額の2分の1のみです。これは国民年金の財源のうち、主に消費税である税金の割合が2分の1なので、保険料納付をしなくても税金は負担しているという理由からです。

仮に20歳から60歳までの40年間法定免除であると、国民年金の満額がおよそ80万円であるのに対し、年金受給額はその半分の40万円程度になってしまいます。障害を負っている方のライフプランを考えると、それだけで老後の生活は成り立たず、何かしらの資産形成を望む方も少なくありません。

そういう時に利用したいのが、やはり確定拠出年金です。所得がなければ所得控除のメリットはありませんが、それでも運用益非課税が最長75歳まで継続できるメリットは大きいです。2024年から変更が予定されている、非課税期間に制限がないNISAも有力な選択肢になります。

以上を踏まえてiDeCoの障害給付を考えると、状況が許せばできる限りiDeCoの加入は継続させ、60歳以降に請求をする方がよいのではないかと考えます。請求の際、障害給付要件に該当していれば、障害給付として資産全額を非課税で受け取れるので、拠出を長く継続する、そして運用も可能な限り継続した上で、受け取りを計画するのがベターではないかと思います。

また老齢給付と異なり、障害給付を受給中あるいは受給後も、iDeCoの積立を継続することもできるので、将来に向けての前向きな資産形成の形として活用したいものです。


「自由に使えるお金があることは、喜びであり自信である」とは、お客様から学んだ言葉です。積立を長く継続するのは大変なことですが、将来の自分がそんな言葉を発せられるように、コツコツ頑張っていけたら素敵だなと思います。

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