はじめに

9月30日に開催されたマネーフォワードとマニーク共催「私らしく生きる。女性のためのライフ&マネーセミナー」で、金融ワカラナイ女子のためのコミュニティ「きんゆう女子。」を運営する鈴木万梨子氏と、マネーフォワードの瀧俊雄が対談しました。

鈴木氏も瀧も「お金と使う人の垣根をなくす」という意味で、目指すゴールは同じ。では、両者が考える「これからのお金の向き合い方」とはどのようなものでしょうか。後編です。

前編中編はこちら)


投資前の「3カ月分は預金してください」ルール

鈴木: 私の方からは、きんゆう女子のコミュニティとリアルボイス、私自身の話をさせていただきました。

ここからは瀧さんとのお話の時間にさせていただきたいと思っています。瀧さんにいろいろ深掘りして聞いていきたいと思っていたのですが、まずは悩みから聞きたいと思います。

今日いらしている皆さんからも質問をいただきました。そのなかで「何から始めていいかわかりません、とにかくわからないです」というものがありました。

瀧: その多くの答えは「貯金を貯めて投資しましょう」みたいな話があります。そういう意味では、ものすごくシンプルになにをすればいいかというと、まずひとつ目は「3カ月分の生活費で、とにかく預金を貯めてください」というルールがあります。

今日の講演で最後に触れられなかったところですが、投資を始める前に「3カ月分は預金してください」というルールがあります。まあ、3カ月説と6ヶ月説がありますが。

なぜ3カ月かというと、世の中にある会社というのは生モノで、突然倒産したりするものなんです。会社から放り出されて次の仕事を見つけるにはだいたい3カ月くらいかかる。いろんなケースがあると思うのですが、3カ月分くらいの貯金があると心にゆとりが出てくるんですよね。

金額としては、ケースによっては60万円とか、人によっては100万円を超えてくることもあると思います。なので、なかなかまとまった金額です。月々10万円を貯めても、1年近くかかる話なんです。私は「投資信託をすぐ始めましょう」という話の前に、「まとまったお金を貯めましょう」「そこはできるだけ自動でやりましょう」というのがひとつあるかなと思っています。

年金積立金管理運用独立行政法人の存在

瀧: 3カ月を乗り越えた後の話をしておくと、今までちゃんと働いたことがある方には「貯金しかしていない」としても、実はすでに投資しているんですね。

これはけっこう有名な例えですが、年金積立金管理運用独立行政法人というものがあります。GPIFと呼ばれるものです。この人たちは、皆さんが払い込まれた公的年金を運用している人たちです。ぜひマネーフォワードでねんきんネットのIDとパスワードを連携していただくと積み立てた公的年金の金額がわかります。これ、自分の思わぬ資産なんですね。これは3ヵ月分に入れないでください。老後までもらえないお金ですから。

しかし、皆さんはそこに500万円や600万円、私もおそらく1,000万円くらいの公的年金の振込額があります。このお金は、年金制度はいろいろ言われているものの、ひいては自分が年金としてもらえるお金です。

このお金はけっこうな割合が株式で運用されています。そうすると皆さんの数百万円は国内債券がほとんどですが、国内の株式に11%、海外の株式に10%近く、実は勝手に国が運用しちゃっているんです。運用している商品は、いわゆるインデックス型というか、何かすごく儲けをとりにくいというより、市場全体のリスクを非常にバランスよく取りにいっているものなんですね。

よく新聞で3カ月おきくらいに「今期、年金は4兆円損しました」などあります。あれは儲かったというか、収益を上げたときには報道しないんです。

なので一方的に年金が奪われているように思っていますが、あれは市場のパフォーマンスとして非常に効率的な運用をしているファンドがあります。私はこのファンドというか、これくらいは我々の3ヶ月を越えたところについて、投資してもいいんじゃないかと思っています。

わからないことは、わからなくていい

瀧: ただでさえ、自分たちは海外ものだけで40%くらい、株式だけで分類しても50%は投資している。この割合は、意外と参考になるんじゃないでしょうか。

株式がなぜ収益を生むのか。これは非常に深めれば深めるほど、正直知らなくてもいいくらいの知識がいっぱいあります。ただ、世の中のとっても賢い人たちが悩んだ結果、これを導き出しているのはけっこう重要だと思っています。

私は鈴木さんの言葉で「わからなかったことは、わからなくていい」というのが大好きです。私自身、この理論はわからないです。でも、そこは学者やそれを生きがいに研究してきた人たちが出した結果なのだから、乗っかってもいいと思っています。

だって、我々は車のメカニズムを知らないですが、アクセルを踏むじゃないですか。「ブレーキを踏んだら絶対に車が止まる保証はあるのか?」と言われても「知るか!」と思うじゃないですか。トヨタだって命を張っている、みたいに思うじゃないですか。だから、プロに任せるのは意外にこういうものを参考にするのと同じかなと思っています。

鈴木: 私も最初、瀧さんに女子会のゲストで来ていただいたときにこのグラフを教えていただきました。けっこう衝撃的だったというか。年金は本当に毎月のお給料から引かれているものです。その行き先がどうなっているかを考えたこともなかったですし、知りませんでした。

実はこうやって運用されていた。お金の置き場として、私は勝手に債券とか買っていたんだ、株式は年金を通じて買っていたんだ、外国にも投資できていたんだと知り、それだけでもけっこう価値があったなと思っています。

このグラフはいつも迷ったときに見返しています。「GPIF 年金」って調べると出てきます。

瀧: GPIFのサイト見てると、けっこうきてるなって感じになっています。このグラフはすごく参考になると思います。

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