はじめに

相談者が2年後、夫が5年後に退職した場合の資産の推移は?

このような収支の場合に、資産残高は次のようになります。

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配偶者さま退職時点での投資資産残高は、約1億1,500万円となっていますので、利回り3%であっても投資から年間345万円程度の収入が見込まれる形となります。配偶者さまの退職後は純資産が減少していく形になりますが、公的年金を受給し始めると、増加に転じる見込みです。

この場合でも、配偶者さまが72歳時点で純資産は1億4,000万円ほどになると見込まれますので、お金の面ではまったく問題ないのではないでしょうか。

考えられるリスクは2つ

ご相談者さまが2年後、配偶者さまが5年後に退職されるという想定であっても、問題なさそうですが、どういったリスクや懸念があるか確認してみましょう。

1つ目は現在のままですと、退職後の収入源が個別株式からの収入のみとなっている点です。配当の割合を高めていくとしても、個別株の場合は減配リスクもあり、「○○ショック」などと呼ばれるような急落が来てしまうと大きく資産額を減らしてしまう可能性もあります。

また、趣味のブログ、YouTube、雑貨品販売、不動産投資、塾の開業といった新しい収入源を検討されているとのことですが、こういった収入源についても、新しいビジネスとして取り組む場合には一定の先行投資が必要となり、うまく軌道に乗るとは限りません。

この2点が最大のリスクになるのではないでしょうか。

なお、不動産投資を行う場合には、一般的に会社員の方のほうが不動産投資用のローンを借りやすい状況にありますので、退職前に借り入れしておくことが大切です。

今回のポイントをまとめると…

現在の資産額と今後見込まれる収入を考えると、早期の退職も十分可能だと思いますし、考えられているプランについて大きな見落とし等はないかと思います。強いてあげるなら、退職後に得られた時間をどのように使っていくか、どういった活動をしていくか、そのあたりをしっかり検討しておかれるとよいかと思います。

以上、ポイントをまとめますと以下のようになります。

◆現在想定されている範囲で退職されたとしても、おそらくお金の面では問題ないように思われます。
◆ただし、退職後の収入源がマーケット環境に依存するのはとてもリスクが高い状態だと考えられますので、できるだけ収入源を多様化しておくことがおすすめです。
◆退職後に得られる自由な時間の過ごし方についてしっかりと検討しておくことをおすすめします。

ご参考としていただけましたら幸いです。

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