はじめに

業界1位のパイロットに追いつけるか

筆記具業界で、国内売上1位は、パイロットコーポレーション(7846)で、残念ながら三菱鉛筆は2位に甘んじています。直近の実績売上高でみるとパイロットが1,128億円、三菱鉛筆は689億円と、2倍弱の差をつけられています。

パイロットといえば、なんといっても消えるボールペン“フリクション”という金の卵を持っています。当然、こちらも海外で人気が高く、海外売上比率は76%と、一歩先を進んでいます。

ところが面白いことに、2社の株価を比べると、去年の11月以降、三菱鉛筆は上昇傾向、パイロットコーポレーションは下落傾向と、明暗がくっきり分かれています。

画像:TradingViewより

パイロットの2023年2月13日に発表された2023年4月期第2四半期決算は、①売上高112,850(百万円)、②前年同期比+9.5%、③営業利益21,244(百万円)、④前年同期比+9.9%と、1桁の増収増益。悪くはないですが、2桁増収増益の三菱鉛筆と比べると、やや見劣りします。

画像:パイロットコーポレーション「2022年12月期決算短信〔日本基準〕(連結)」より引用

伸び悩んだ理由は、米国市場において在庫削減などの影響をうけたこと、欧州市場においては、景気交代の影響を受けたことが挙げられています。海外売上比率の高さが、かえってマイナスに作用したようです。

財務盤石、PBR1倍割れとなると…

ここのところ、株式市場で物色されているのが、PBRが1倍を割れている銘柄。PBRとは、その企業の株価が割高か割安かを評価するために使用される指標です。

2023年1月に東京証券取引所が、市場再編区分の見直しに関するフォローアップ会議を開催。継続的にPBRが1倍割れの会社には、2023年春に開示を強く要請すると発表したことで、該当企業が震撼しました。

事実、この発表後に、テクニカル的にPBRを向上させるため、自社株買いを発表する企業がポコポコと発生しています。大規模なところでは、シチズン時計(7762)が上限400億円、発行株数に対する割合25.61%の異次元自社株買いを発表。翌日から株価は急騰し、PBRは0.95倍まで上昇するという荒技を決めました。

三菱鉛筆のPBRは0.8倍。財務も盤石ですから、荒技を決めてこないとも限りません。創業130年を超える老舗はどんな手を売ってくるのか−−そういった動きにも、ぜひ目を向けてみてください。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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