はじめに

消費税の基本

消費税といえば、お買い物をしたときに10%ついてくるアレです。みなさん、なんとなくはご存知ですね? その10%を支払ったあとは、お店が消費税を預かっておいて、後で税務署に納付をしてくれます。

ただし、お店としても仕入れや経費を払った時に消費税を支払っていますから、お客さまから預かった消費税から、自分が払った消費税分を差し引きした残りを税務署に納付する、というのが基本のルールです。

例えば、1年間で1,000万円売り上げて消費税を100万円預かっているお店が、同じ1年間で700万円を仕入れて70万円の消費税を払ったとすれば、100万円 ― 70万円 = 30万円を税務署に納付します。

これがおおまかな消費税の基本ルールです。

このとき、お客さまから預かった100万円については、自分で消費税を計算しているので計算を間違えるはずがないのですが、取引先に支払った70万円について、ちゃんと正しい計算がされているかが問題になっています。

本当に全てのお店や会社が、キッチリとお客さま預かった消費税を税務署に届けられているのか? 実は、2つの理由から、日本の中で預かったり納めたりする消費税の金額が、ピッタリにならないという状況にあるのです。

(1)消費税率8%のものと10%のものが混ざっていてややこしい
(2)日本中すべての会社やお店が、お客様から預かった消費税を納めているわけではない

もし、お店で税込1,100円を払ったとしても、その100円は税務署に届けられているのか定かではないということです。なんて……嘆かわしい!

実は、税務署に届けられなかった分は、会社やお店の儲かった分になっています。これを税金用語で「益税(えきぜい)」と呼んでいます。会社やお店の儲けになっているとはいえ、決して違法ではなく、法律に基づいて処理した結果、儲けになっているという状態です。

まず(1)については、税率が8%やら10%やら色々で、会社で消費税の経理処理をするときに間違ってしまうこともあるかもしれません。また、(2)については、年間の売上高が1,000万円以下の事業主や企業などは、消費税を納めなくてOKというルールがあります。この事業者を「免税事業者」といって、売上が少しだから消費税の申告をしなくていいし、消費税の納付もしなくてOKだよ、ということです。

もし、個人でやっている小さな文具店の毎月の売り上げが80万円だった場合、80万円 × 12ヵ月 = 960万円ですので、年間の売り上げは1,000万円になりません。消費税の手続きをしなくていいお店 = 免税事業者ということです。ただし、毎年の売り上げは変動しますので、免税事業者であっても、いつ1,000万円を超えて消費税を納めなくてはならなくなるかわかりません。

・取引先が免税事業者かどうかわからない!
・消費税率も8%やら10%やらややこしい!

この2つの問題を解決するためにスタートするのが「インボイス制度」です。インボイスを発行できる事業者は、事前に税務署に登録をして「登録番号」をゲットします。その登録番号を領収証などに記載して、消費税率ごとの消費税額までキッチリと書いて発行すればOKということです。

「インボイス」と呼ばれる「キッチリとした消費税額が書かれた領収証など」があれば、取引先がちゃんと消費税を納めている業者かどうかがわかる上に、税率やその税率ごとの金額がキッチリと明記されていますので、請求書や領収証を受け取った側でも、消費税の金額を間違って計算することがないということです。なんて……喜ばしい!

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