はじめに
「保険」と「投資」は分けて考える
有野:子どもや孫の代ではどうなってるかは分からんけど、って感じかな。不安になる記事を結構見かけたけど、先生に聞いて状況を理解すると安心できますね!
三輪:先生、そういえば以前に「外貨建て年金保険」がいいと聞いたことがあるんですが、これってどうなんですか?
岩城:最後にちょうど、保険の話をしようと思っていました。全ての商品がそうと言う訳ではありませんが、「外貨建て年金保険」は一見すると、「年金に保険までついてくる」のでお得のように思えますが、必ずしもお得ではないんです。
三輪:そうなんですか……。
有野:年金に保険までついてくるって、話だけ聞くとファミコンとディスクシステムが一体になったツインファミコンのようなお得感があるんですけど、違うんですか?
岩城:外貨建て年金保険は、「貯蓄」と「保障」の両方の機能をもっているので、それぞれに手数料などがかかり、コストが高いことが問題です。お金を増やしたいなら保険の機能はいらないし、コストの低い商品を持った方が合理的ですね。それに、外貨建てベースでは「高金利通貨」はお得のように見えますが、外貨建て保険で積み上げていった積立金は、一般的にはいつか日本円に戻して受け取ります。契約時より円高になっていれば、せっかくの運用益も吹き飛んでしまうことだってあります。
有野:あ~、なるほど。別々に買えばいいわけですか。一緒に持つ必要ってないって事ですね。「え、ツインファミコン持ってるの!」って羨ましがられたいけど、それが目的じゃなくって、目的はゲームやもんな。デイスクと本体分けて買う方がいいか。でも、待って! ディスクシステムだけ買ってもファミコン持ってなかったら、ディスクシステムのゲームは出来ひんで。やばい、これが外貨建て資産の落とし穴やな。
三輪:全然違いますよ(笑) 目的はゲームじゃなくて、資産を持つ事ですよ。
岩城:資産の一部に外貨建てのもを持つことは、将来、インフレになった時に購買力(モノやサービスを買う力)を維持するうえでも大事ですが、それは単純に外貨を持つことではないんです。例えば、世界全体の株式に広く分散して長期投資をした場合は、長期で企業価値が大きく高まることで、通貨が下落してもそれを補えるだけの収益が得られます。
三輪:なるほど〜。
岩城:保険はあくまで保険。投資とは分けて考えたほうがいいですね。私たちは、すでに強制加入の公的保険に加入しています。任意で入る民間保険は、公的保険の保障内容を知った上で、不足だと感じる部分について過不足なく入るといいでしょう。
有野:投資目的なら、それこそNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)にしたほうがいいってことですね。
三輪:この授業を受けてきて、自然とそのほうがいいんだなって思えるようになりました。私、成長したかも(笑)
有野:NISAなんて言葉がスッと出てくるようになったし、俺も成長したわ(笑) 前は、難しい話は「今のところ興味ないんです」で逃げてきたけど、いまでは「ゲームと資産運用はやらなあかん!」って考えるようになったもん。資産運用できて初めて、将来豊かなゲームライフを送れるもんな。
岩城:素晴らしいことです。お2人とも、この調子で頑張ってくださいね!
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有野晋哉
1972年2月25日生まれ。大阪府出身。テレビやラジオ、CM、雑誌の連載などマルチに活躍。コンビで公式YouTube「よゐこチャンネル」も開設しており、幅広い世代から支持を得ている。自身が50歳を迎えた2022年に、お金にまつわる知識の大切さに目覚め、日々勉強中。
三輪記子
東京大学卒業後、立命館大学法科大学院を経て司法試験に合格。2017年より第一東京弁護士会に所属。弁護士として法律相談、法的問題のセカンドオピニオンや交渉、調停、審判、訴訟の代理人などを務める。主に中小企業や個人事業主の顧問弁護士として活躍するかたわら、松竹芸能に所属し、テレビやラジオなどメディアにも出演。ゲストを交えて時事問題を法的観点から語るYouTubeチャンネル「みわたまチャンネル」も手掛ける。
岩城みずほ
MZ Benefit Consulting 株式会社代表取締役 オフィスべネフィット代表 NPO法人みんなのお金のアドバイザー協会〜FIWA 副理事長。放送局を経てフリーアナウンサーとして14年活動後、会社員を経て2009年独立。金融商品を販売することによるコミッションを得ず、お客様の利益を最大限に、中立的な立場でコンサルティング等を行っている。著書『結局、老後2000万円問題ってどうなったんですか?』など多数。
ライター:新井奈央 / 写真:文化工房