はじめに

働く側が残業代引き上げに際して気をつけること

中小企業に勤めている方は、残業時間が減りワークライフバランスが充実すると期待する半面、今までと同じ働き方という方もいるかもしれません。改正において次のことに注意しておきましょう。

人手不足が深刻な中小企業によっては、法律のしばりがあっても労働時間が減らないという企業もあるでしょう。こうした企業は、残業代の引き上げが人件費の増加になります。労働時間の隠ぺいを行い、残業代が正しく支払われない会社もあるかもしれません。仕事の途中でもタイムカードを切るように指示したり、労働時間を申告させないよう圧力をかけたりすることも耳にします。

特に残業代が固定で支払われる「みなし残業制度」を導入している場合でも、想定する残業時間を超えたときは、時間外の割増賃金が生じます。自身でも労働時間の記録に努めましょう。労働時間を算定する証拠としてメモ書きやスマホのGPSの記録が証拠になる裁判例も出てきています。※2

時間外労働の割増率を上げるねらいは、残業時間を減らし、魅力的な職場づくりが業績向上につながり利益が増える好循環となることです。労働者自身も業務ややり方などを棚卸し、業務の効率化を考えることが必要です。残業時間が長いことは、生産性が低いととらえ、「残業はできるだけしない」という意識改革も必要になります。

また制度が変わったり、意識改革がされたりしても残業減少の効果はすぐに出てこないかもしれません。もし、ストレスがかかっていることを自覚した場合には、休職するなど心身を休める対応をしましょう。ケガのように目に見えるものではないので気づきにくいものですが、心身疾患は短時間で回復するものではありません。仕事も大事ですが、健康を守るのは自分自身だということを忘れないでくださいね。

※1:「知識ゼロからの働き方改革で変わる労働法入門」幻冬舎 萩谷雅和 菅原修 監修
※2:「図解で早わかり 最新 働き方改革法と労働法のしくみ」三修社 木島康雄 監修

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