はじめに

活発化する「物言う株主」

また昨年、2022年からアクティビスト(物言う株主)の動きも活発化しています。

日本に参入しているアクティビストの数は2022年末に68となり、2014年の8から約8倍となっています。また、2022年のアクティビストによる日本企業への株主提案件数も、58件と過去最高を記録しました。2014年は4件でしたので、14倍となっています。

アクティビストが大株主に登場した企業の、中期経営計画の発表も目立ちます。

コスモエネルギーHD(5021)は、村上世彰氏が関わる投資会社のシティインデックスイレブンスが大株主です。2023年2月、再生可能エネルギー事業についての説明が不十分であることを指摘し、同時にPBR1.0倍以上を求めました。この提案を受け、同社は在庫影響を除いた純利益に対する3ヵ年累計の総還元性向を60%以上とする他、年間配当について200円を下限とする方針を打ち出しました。

東洋建設(1890)は、大株主の任天堂創業家の資産運用会社、ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(YFO)から、自らが推す取締役候補の選任を求める旨の株主提案する方針を明らかにしました。6月に開催される株主総会前に、東洋建設は5ヵ年計画を公表しました。2028年3月期の連結営業利益目標を150億円以上(2023年3月期予想は80億円)。配当性向倍以上と発表しました。

大日本印刷(7912)は、2023年1月にエリオット・マネジメントが大株主として登場しました。同社は2023年3月上旬に3年間の新中期経営計画の骨子を公表し、資本効率の向上に向けて、3,000億円程度の自己株取得を最大5年かけて実施するとしました。

今後もアクティビストが大株主に登場している企業が、中期経営計画などで株主還元策を発表する可能性が高いように感じます。最後に、主なアクティビストの保有銘柄を紹介します。

・シティインデックスイレブンス
アルプスアルパイン(6770)、ホシデン(6804)、東亜建設工業(1885)、三井住友建設(1821)、コスモエネルギーHD(5021)、大豊建設(1822)など

・エフィッシモ・キャピタル・マネジメント
川崎汽船(9107)、タムロン(7740)、関東電化工業(4047)、UACJ(5741)、富士紡HD(3104)など

・オアシス
北越(3865)、内田洋行(8057)、ツルハ(3319)、デジタルガレージ(4819)、フジテック(6406)、サン電子(6736)、サンケン電気(6707)など

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