はじめに

つまり、自分で「あれこれ負担しちゃったよな〜」と思っているだけで、会社に内緒では特定支出に落とすことができません。会社に証明書を書いてもらわなければならない、という一手間が必要になるのです。

会社から補填されるものや、教育訓練給付金・母子(父子)家庭自立支援教育訓練給付金が支給される部分は、特定支出から除かれます。本当に自分が負担した部分というイメージで考えると分かりやすいでしょう。

最後に、「ある金額」を超えると、とお伝えしましたが、この金額が意外に高くてなかなか条件をクリアできないようです。その超えなければならない金額とは、「その年中の給与所得控除額の2分の1」。つまり、前述の「給与所得控除額」の半分を超えたら、超えた部分だけ引いていいということです。

ここで、給与所得控除額を確認してみましょう。

画像:国税庁「No.1410 給与所得控除」より引用

例えば、年収500万円の方なら給与所得控除額は「500万円 × 20% + 44万円 = 144万円」、つまり特定支出控除はこの半分である72万円を超えた部分だけ受けられるということです。

「えー? 全然超えられへんやん!」と思われた方が多いのではないでしょうか? 単身赴任の引越しや、お仕事上の旅費をどんなに足していっても、なかなか超えられない金額ですよね。

平成28年から超えなければならない金額が半分に下がったものの、まだまだ条件を満たしてこの制度を活用できる方は少ないようです。とはいえ、高額な資格取得(弁護士・公認会計士・税理士)のための専門学校費用などが認められるようになっていますので、以前よりは該当する方も増えて、制度を活用しやすくなっているそうです。

なお、この特定支出控除を受けるためには、所得税の確定申告を行う必要があります。その際、特定支出に関する明細書を作成し、会社からの証明書を申告書に添付するとともに、支出した金額を証する書類などを申告書に添付、または申告書提出時に提示する必要があります。

今回は、「自分は経費として、控除を受けられるのかな?」と思っている方に、分かりやすいよう簡潔に記述しました。該当する可能性がある方は、詳細を国税庁のウェブサイトでご確認ください。

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