はじめに
【FP夫婦からの解説】お金持ちになりたければ「貯蓄体質」をつくろう
「将来、お金持ちになりたい!」と思っている子どもは多いです。けれど、子どもたちが思い描く「お金持ち」のイメージはかなりあいまい。親子の会話を通して「お金持ち」の定義をはっきりさせられるといいと思います。子どもの好奇心が満たされるだけでなく、お金に対する感覚を磨く機会にもなります。
最初に確認しておきたいのは、お金持ちかどうかを決めるのは、「年収」や「収入」の金額ではないということ。収入から支出を引いた後で残る「貯金」や「資産」の金額によって、お金持ちかどうかは決まります。年収が多いからといって、お金持ちになれるとはかぎりません。しっかりと伝えたいポイントですね。
では、お金持ちかどうかは、なにで決まるのでしょうか。
難しい言葉を使えば、「純資産」であり、「資産−負債」の額です。子どもには最初、ざっくりと「貯金−借金」で決まるというふうに理解してもらえばいいでしょう。そのうえで余裕があれば、厳密には「純資産」という概念があって、単なる「貯金」とは違うということが伝わるといいと思います。
では、どれくらいの純資産があれば「お金持ち」なのでしょうか。
野村総合研究所によると、2021年の段階で、日本には「純金融資産」が1億円以上の「富裕層」が148万5000世帯あったと推計されます。日本全体の2.8%ほどです。
この推計でいう「純金融資産」は「預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から不動産購入に伴う借入などの負債を差し引いた資産」なので、先ほどの「純資産」と、ほぼイコールと考えていいでしょう。
「純資産1億円」といった具体的な金額は子どもの興味をそそりますが、重要なのは、「どうしたら、それだけ資産を貯めることができるのか」です。
これまでFPとして、多くの家計を見てきましたが、お金持ちの人には、共通するお金の習慣が多くあり、それらを大きくまとめると次の3つになります。
1「上手に稼ぐ」
2「上手に使う」
3「上手に貯める」
お金持ちというと、たくさん稼いで派手にお金を使うというイメージがありますが、現実のお金持ちは節約家で、地道に生活をしている方がほとんどです。実際に調査した結果をまとめた本もあります。ご興味のある方は『となりの億万長者〔新版〕──成功を生む7つの法則』(トマス・J・スタンリー、リアム・D・ダンコ著、斎藤聖美訳/早川書房)や『日本のお金持ち研究』(橘木俊詔、森剛志著/日経ビジネス人文庫)などを読んでみると、面白いかもしれません。
お金持ちになるには、収入ももちろん必要ですが、一番大切なのは、支出のコントロールです。ムダな支出を減らし、コツコツと貯蓄していく。このシンプルな習慣を続けて、「貯蓄体質」をつくっていくことがお金持ちへの道へとつながっていきます。
子どもたちのなかには、おこづかいやお年玉をムダづかいして後悔した経験があるという子も結構います。そんな実体験を親子で思い起こしてみてもいいでしょう。
貯めた金額を「見える化」したほうが、お金を貯めるモチベーションは上がるものです。おこづかい帳をつけたり、子ども名義の銀行口座をつくって、どれだけ貯金が増えたかを確認する習慣も、子どもの「貯蓄体質」強化につながるでしょう。
▼ お金持ちとは「収入が多い人」ではなく、「純資産が多い人」である
▼ お金持ちになるためのポイントは、「上手に稼ぐ」「上手に使う」「上手に貯める」の3つ。この3つを習慣化して「貯蓄体質」をつくるのが王道。
▼ おこづかい帳をつけたり、子ども名義の銀行口座をつくったりして、お金の収支や蓄積を「見える化」すると貯金のモチベーションが上がる。
書籍情報
『11歳から親子で考えるお金の教科書』
著者:頼藤太希/高山一恵
※画像をクリックすると、Amazonの商品ページにリンクします
ファイナンシャルプランナー(FP)夫婦がつくった、楽しくてわかりやすいお金の教科書。11歳の息子の「なぜ?」に答えて、お金の上手な「稼ぎ方」「使い方」「増やし方」を伝えます。年収、社会保険、電子マネー、投資、NISA、暗号資産…気になるトピックを、漫画と図解、会話形式でわかりやすく解説。大人の入門書にも好適。