はじめに
投資信託の「隠れコスト」「実質コスト」に要注意
目論見書の「その他の費用・手数料」の欄には、購入時手数料・信託報酬・信託財産留保額以外にも費用や手数料がかかることが記されています。その他の費用・手数料は、目論見書には事前に表示することのできない手数料です。eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の目論見書にも「※上記の費用・手数料については、売買条件等により異なるため、あらかじめ金額または上限額等を記載することはできません」と記載されています。
では、どこを見れば金額がわかるかというと、投資信託の「運用報告書」です。運用報告書には「1万口当たりの費用明細」という項目があります。ここには、運用期間内に信託報酬以外にかかった手数料が細かく記されています。
●eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の運用報告書
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の場合、
(a)信託報酬 18円 0.114%
(b)売買委託手数料 1円 0.007%
(c)有価証券取引税 2円 0.012%
(d)その他費用 6円 0.037%
合計:27円 0.170%
と記載されています。つまり、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の1万口あたりの実質的なコストは、27円(0.170%)だということがわかります。
信託報酬以外の費用は、意図的に隠しているわけではないのですが、目論見書に明確に記されていない「隠れコスト」です。信託報酬以外にも費用がかかっていることを押さえておきましょう。信託報酬が低水準でも実質コストが恒常的に高いのであれば、そういった投資信託は選ばない方が良いでしょう。
また今後、信託報酬がより低水準のファンドが登場した際に、すぐに乗り換えを検討せず、実質コストの報告を見てからでも良いかと考えます。
もっとも、隠れコストは期ごとに変わります。これを気にしていちいち投資信託を乗り換えていたら、手間もかかりますし、長期運用もできなくなってしまいます。信託報酬の安い投資信託を選んだら、多少の差は気にせずに運用を続けて問題ないでしょう。