はじめに

任意加入する時に押さえておきたい2つのポイント

任意加入する時に押さえておきたいポイントが2つあります。家計全体で節税できたり、さらに年金額を増やしたりできる可能性があるからです。

・所得が高い夫の社会保険料控除で節税を

国民年金保険料を納めて、年末調整の申告書で申請を行うと税金が還付されます。例えば、Aさんの年収は130万円以下で所得税率は5%、所得税額は1万1,000円ほどです。仮に1年分の保険料19万8,240円(令和5年度の月額16,520円の12ヶ月分)を支払った場合、税金の還付は9,912円(19万8,240円x5%)になります。

いっぽうで、Aさんの夫が保険料を支払った場合、所得税率23%で算出すると、税金の還付は4万5,595円(19万8,240円x23%)です。所得の高い夫が保険料を納めることで節税メリットを大きくすることができます。また、国民年金保険料をまとめて納め割引になる前納制度を合わせて利用することで、更にお得になるので検討されるとよろしいでしょう。

・老齢基礎年金の上乗せ「付加年金制度」で年金額を増やす

付加年金制度とは、任意加入時の保険料に上乗せして月額400円の付加保険料支払い、老齢基礎年金額を増やす制度です。受け取る付加年金額は、年額で「200円x付加保険料を納めた月数」になります。ちなみにAさんが加入できるのは最大30月で、付加年金額は6,000円(200円x30月)です。僅かな金額ではありますが、付加年金額を2年以上受け取ると元は取れますから、増やせることは何でも検討された方が良いでしょう。ただし、iDeCoをしている場合は注意が必要です。なぜなら、付加年金制度を利用する場合、iDeCoとの併用は可能ですが、iDeCoの拠出限度額から付加保険料を差し引くことになります。また、iDeCoの掛金月額は千円単位ですから、上限まで拠出している場合は掛金を1,000円減額する必要があるので、どちらが良いか検討が必要です。

年上妻は振替加算の申告を

最後になりますが、夫婦で一定の条件を満たす場合、妻の老齢基礎年金に「振替加算」が支給される可能性があります。ただし、妻の生年月日が昭和41年(1966年)4月1日までに生まれた人に限定されます。Aさんは、昭和38年生まれで、その他の条件を満たすので振替加算を年額1万5,323円(令和5年度)受け取れます。その際、年上妻の場合、自身で申告する必要があります。具体的には夫が65歳になった時点で手続きを行います。申請しないと受け取れませんので留意しておきましょう。

以上、扶養妻が60歳になった時点で扶養を抜ける手続きは不要ですが、国民年金の納付状況を確認して適切に対応することをお勧めします。

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