はじめに

「お金を貯めるには投資が必要」とよく言われます。株・債券・投資信託・不動産など、金融商品はいろいろありますし、iDeCoやNISAといった老後資金づくりに役立つしくみも整備されています。こうした金融商品やしくみを利用した投資をまったくせずに老後資金2000万円を貯めるのはそもそも難しいのでしょうか。皆さんと一緒に考えていきたいと思います。


老後資金2000万円を預貯金のみで準備 毎月の貯金額は?

お金を貯める方法はいろいろありますが、突き詰めると、収入を増やすか、支出を減らすか、お金を働かせる投資をするかの3択しかありません。今回、老後資金2000万円を貯めるにあたって「投資をまったくしない」のですから、お金を増やすには、収入を増やしたり支出を減らしたりして、毎月の貯蓄額を増やすしかありません。

たとえば、今30歳の人が65歳まで35年間働きながら老後資金2000万円を貯めるとします。このとき、毎月貯めなければいけない金額は2000万円÷35年÷12か月=4万7619円。老後資金2000万円を貯めるには、およそ毎月4万8000円ずつ貯蓄する必要があります。

70歳まで働くという前提ならば、2000万円÷40年÷12か月=4万1666円ですので、毎月4万2000円ずつ貯めれば老後資金2000万円が用意できます。

老後資金2000万円というと、途方もない金額に思えますが、35年・40年と時間をかければ、毎月の貯蓄額は4万円台で済む計算です。これならば、収入増や支出減で毎月の貯蓄を増やせば、できなくはなさそうです。そして、無理に資産運用しなくても良さそうに思えるかもしれません。

老後資金以外にもお金が必要…

しかし、私たちが用意すべきお金は、老後資金だけではありません。
ケガや病気になった時の治療費や、働けない間の収入減に備えるお金は用意しておかなければなりません。

また、長い人生の間にはさまざまなライフイベントが発生します。結婚資金、教育資金、住宅購入資金、自動車購入資金、余暇資金といった、ライフイベントにかかるお金などもあります。

さらに、このところ物価が上昇する「インフレ」が起きていることも見逃せません。インフレで物価が上がるということは、その分お金の価値が減っていることを表します。お金を現金や預貯金の形で持っていても、額面の金額は変わりませんが、インフレになることで買えるものが減るため、お金は相対的に減っていきます。

物価に合わせて給与も増えてくれればいいのですが、残念ながら給与は伸び悩んでいます。国税庁「民間給与実態統計調査結果」(2021年)によると、2021年の給与所得者の平均給与は443.3万円。この金額は、2000年時点の平均給与461万円を今なお上回っていません。節約ももちろん大切なのですが、すでに節約をしている人がより一層の節約でお金を用意するのは大変でしょう。

これらを考慮すると、超低金利時代の今、やはり預貯金だけでどうにかするということは難しいでしょう。少なくとも、インフレヘッジするための資産運用は必要だと考えます。

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