はじめに
運用に成功すれば資金を増やせる「変額保険」
塚越:学資保険のほかにも「終身保険」や「養老保険」、「個人年金保険」にも同じ「貯蓄型」の性質を持つ保険がありますが、いわゆる“掛け捨て”と呼ばれるタイプに比べて、一般的に保険料が高くなっています。特に、途中解約すると、払った保険料の総額よりも払戻金が少なくなる、いわゆる「元本割れ」リスクが高まりますので、注意が必要です。
有野:保険を選ぶ時に、つい「少しでも返ってくるなら、そっちのほうがお得やん」って考えてしまいそうやけど、もっとトータルで考えなあかん、ってことですね。
塚越:保険商品は、あくまで「何か起きた時に対する保険」がメインの目的。貯蓄や投資とは分けて考えるほうが、結果的にお得になる場合もあります。
有野:なるほど! そんなこと全く考えてませんでした。お菓子を買う時に、オマケがついてたほうがお得感あるけど、それでお菓子自体の値段が上がってたんじゃ、本末転倒。保険のおばちゃんからお歳暮くるのは嬉しいけど、結果全然お得と違うもんなぁ。
塚越:この流れでお話しするのは少し気が引けますが、学資保険を含め、先ほど挙げた保険が「貯蓄型」と呼ばれるタイプであるのに対して、「投資型」の代表として挙げられるのが、「変額保険」です。聞いたことはありますか?
有野:初めて聞きます、「変額保険」ってどんな保険ですか?
塚越:変額保険は、保険料のうちの大半を「投資」に回すことで、積極的にお金を増やすことができるタイプの保険です。
有野:え、保険を買ったら投資までしてくれるんですか? 流行りの二刀流や、入ります!
塚越:払った保険料のうち、一部は死亡時の保険金などの保障のお金に回り、残りは「特別勘定」という別のお財布に入れ、そちらを投資に回しましょう、という仕組みが違う点ですね。学資保険など貯蓄型では、資金が半分になるということはありませんが、その代わり資金が大きく増えることもないんですね。変額保険は、運用に成功すれば大きく増やせる可能性があります。
有野:そう聞くと、変額保険のほうがいい気がしてくるなぁ。でも、「運用に成功すれば」ということは、失敗したら損する、ってことですよね、先生? 保険やのに、リスク付き……あ、二刀流や!って違う、これは二刀流じゃない。失敗したら損するのは保険として危ないなー。
塚越:おっしゃる通りです(笑) これは投資の基本ですが、大きく儲けようとすればするほど、その分、損をするリスクも高まります。これは、「変額保険」についても同じですね。