はじめに

じつは営業利益率には2倍の差

消費者の感覚では、森永製菓と江崎グリコ、同じような規模感ですが、実際には少し違っています。進行中の期の売上は、森永製菓が2,040億、江崎グリコは3,170億円と江崎グリコのほうが1.5倍程度あります。

一方で営業利益は、森永製菓は173億円、江崎グリコは160億円とほぼ変わりませんので、営業利益率は、森永製菓が8.4%、江崎グリコは5%となり、圧倒的に森永製菓のほうが効率良く稼げていることになります。

それにもかかわらず、企業に対する評価を表すPERは、森永製菓が16.8倍、江崎グリコは23.8倍と、江崎グリコのほうが高い。直近の株価の上昇も同様となると、投資家としては少し混乱してしまいます。

長期チャートで株価を見ると……

ところが2012年から10年の長期チャートで株価の変化を見ると、森永製菓のほうがパフォーマンスがよいことが分かります。

画像:TradingViewより

アベノミクス相場の2012年から2016年途中までは同じような動きでしたが、その先は江崎グリコは伸び悩みズルズルとゆっくり下降、森永製菓は2017年にぐいっと一段高となり、その後下げてはいますが、江崎グリコと比べると下げ幅は小さく、高い位置にあります。やはり利益率の差は、それなりに株価に織り込まれているようです。

今年、2023年4月から両者の株価が同様に上昇しているのは、どちらも値上げに対するポジティブな反応でひとくくりにされているのではないでしょうか?

ちなみに、4月26日(水)に野村證券が森永製菓の投資判断を「ニュートラル」から「バイ」に格上げ、目標株価も4,300円から5,100円に引き上げました。足元で主力ブランドの増収益が競合を上回っていることが評価となったようです。5月30日(火)現在の株価が4,500円以下なので、まだ上値余地はありますので、ここからライバルに差をつけたいところ。

もちろん江崎グリコが、この先ぐいっと利益率を上げてくることも考えられます。現在5%の利益率が7%、8%まで改善されれば、営業利益は上方修正され、株価を一段押し上げるでしょう。そういった大逆転を妄想しながら、ジャイアントコーンをいただくのも乙ですね。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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