はじめに

4. 繰り上げ返済により「団信」がなくなってもOKか

住宅ローンを組む際には、一般的に団体信用生命保険(団信)に加入します。団信とは、ローン返済者に万一のことがあれば、条件にあわせてローン返済がなくなる保険の一種です。簡単にいえば、Aさんが2000万円のローンを返済中で、Aさんに万一のことがあれば、2000万円分の返済がなくなって完済状態になります。つまり、2000万円分の保険に入っていることと同じなのです。

団信は保険の一種ですので、「繰り上げ返済をすることで、その分の保障額が減る」ということは頭に入れておきましょう。大げさな話、2000万円の住宅ローンを現金で繰り上げ返済をして、その翌日にAさんに万一のことがあっても、団信の契約はなくなっています。当然ですが保険金として2000万円を受け取ることはできません。

そのため、繰り上げ返済をする場合は、必要に応じて新たに民間の保険に加入したほうがいい場合もあります。ただし、健康状態によっては、民間の保険に入れない場合もありますので、先に民間の保険について確認しておくのも一案です。

5. 金利が低ければ、繰り上げ返済の効果は小さい

超低金利で住宅ローンを借りている場合は、月の返済額のうち、利息部分はそれほど大きな割合にはならないものです。そのため、金利が高かった時代に比べると、同じ金額を繰り上げ返済しても、利息軽減効果は、超低金利の今は小さくなります。金利が高い時代の記憶がある親御さんから「繰り上げ返済をするとお得だよ!少しでも早くしなさい」と言われたとしても、金利によってお得度は異なるわけです。

利息軽減効果がどれだけあるのかを確認して、あまり大きくなければ、手元に現金として持っておくことも一つの手です。「いざとなれば、いつでも繰り上げ返済できるお金がある」と思えば、安心感につながるでしょう。

元本保証の預貯金とも組み合わせながら、金利が低いうちは、一部を積立投資にまわす方法もあります。ただし、投資は確実性があるものではないので、予期せぬ相場の急落なども起こります。「あのとき現金を投資に回さず、繰り上げ返済にあてておけば…」と後悔する可能性もあることは念頭に置いておきましょう。高値掴みや特定の投資対象に偏らないように、購入時期を分散させるために積み立てにしたり、世界中の株に幅広く投資する投資信託を選んだりと、少額から少しずつトライしてみるのもよいでしょう。

そろそろボーナスシーズンです。「繰り上げ返済をしようかなと…」と思っている人は、ぜひ上記の5つを確認してみてください。

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