はじめに

女性の社会的活躍を阻む日本の課題

2007年4月施行の改正法では、間接差別禁止の規定が入り、法の上では男女平等が保障され、各企業内で働き方のルールに男女の制限はほぼありません。表向きは能力さえ伴えば、誰でも昇進を目指せる体制になっています。しかし実際は「ガラスの天井」といわれる、女性の活躍を阻む周囲の目や偏見があるのも事実です。

妊娠、出産、育児など、女性のライフステージが変化する期間は、社内において空白やマイナスと捉えられる傾向が挙げられます。また日本の風習には、良くも悪くも右へ習え的な部分があり、社内で役員や管理職に就き活躍する女性が存在しなければ、それに続く人材も生まれにくい向きがあります。さらに旧来的な考えが根強く続いていて企業内において、女性を役職者に登用しようと考える男性が少ない上に、女性が役職に就くことが常態化しにくい雰囲気があるのではないかと思います。

これまでのしきたりを覆して空気を刷新していく事は、一個人の努力だけでは成し得ないはずです。一般社員とそれほど収入が変わらないのであれば、役職者に抜擢されたとしても辞退するケースも少なくないと想像します。

管理職は責任が重く、業務が煩雑でさまざまな問題の矢面に立たなければならない、という現実を目の当たりにしていれば、なかなか足を踏み出さないはずです。女性自らその役割を担い働きたいと思う、思ってもらうためには、社会的なバックアップとそれなりの権限と待遇が必要なのではないかと思います。

一方で、岸田政権はアベノミクスに続く独自色を打ち出そうと、2022年11月に「スタートアップ育成5ヵ年計画」を打ち出しました。ユニコーン企業(企業価値10億ドル以上の未上場企業)を、現状の約16倍の100社へ増加させる壮大な計画です。また、優良なスタートアップ企業に占める女性起業家を、2033年までの10年間で20%にする新目標も掲げています。

冒頭に書きましたが、「諸外国と日本を比べると国際的に大きく立ち遅れている……」のは何故なのか、一度ここに立ち止まり考える必要があると思います。諸外国に追いつきたい、ひとまず態勢を整えたい、そのことだけがきっかけでこの取り組みを行うのであれば、抜本的な改善には至ならないと思います。

増税や物価上昇が際立つ現実社会の中で、少子化、男性の育休が進まない事、女性が社会的な立場を得にくい事は関連しているはずです。複雑な現実を前に行動する事は難しいとは思いますが、「出る杭は打たれる」に臆することなく、また新しい取り組みには人が人を応援していくプラスの連鎖が必要不可欠です。政府の後押しが追い風となって、女性の社会的躍進が進むことを望みつつ、今後の展開を見守りたいです。

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