はじめに

iDeCoの節税効果とは?

「iDeCoって投資でしょ? なんだか怖いな……」という声も聞きますが、iDeCoを活用するというのは退職所得の節税対策を有効に使う方法です。iDeCoとは、60歳以降で受け取ることができる一時金や年金を、投資の掛け金として積み立てておく制度です。

(1)掛金を投資で毎月積み立てると、その分を「控除」として引いてくれる
(2)運用益が出ても税金ゼロ
(3)受け取る時は「退職所得」または「雑所得(年金所得)」として税金を安くできる

トリプルで税金が安くなるなんて、なんて……喜ばしい!

まず、(1)で毎年の年末調整で還付される税額が増えることになります。毎月2万円ずつ掛けていれば、年間24万円の掛け金。例えば課税される所得金額が600万円の方なら、所得税率が20%なので、住民税10%を合わせると「24万円 × 30% = 72,000円」となり、自分の将来のために積み立てするだけで、毎年の税金が7万円以上も安くなるのです。

おまけに、運用益が出てもそれに課税されない上に、一括受け取りにすれば、前述の退職金と同じ節税効果があるのです。分割で受け取ったとすれば「年金所得」として、これまた控除額が大きい所得に該当します。

「税金って高いよな~」なんてボヤいている暇があったら、すぐにiDeCoの資料を取り寄せるところからはじめてみましょう。

退職所得の増税改正? 今後はどうなる…

ただし、冒頭でも触れましたが、いま政府は退職金の課税ルールの見直しを検討しています。

2023年4月に行われた「新しい資本主義実現会議」において、退職金に関する節税制度について言及がありました。その内容の一部に、「勤続20年を超えると退職所得控除額が増加される制度が労働移動の円滑化を阻害しているという指摘があった」というのです。これは、先ほどの「20年以上働いた人は、1年あたり70万円ずつ控除額が増えていく」という部分のことです。

以前は、新卒で入った会社に定年まで勤めあげるのが当たり前の世の中でしたが、現在では転職など当たり前になってきています。そんな世の中に法律がついていけておらず、退職所得控除額のことを考えると、20年ぐらいで退職しちゃうのはもったいないと思って、自分の実力を活かして転職できる人も踏みとどまっちゃうんじゃないか、ということです。

退職所得控除のことを考えて転職を諦める人が本当にいるのかどうかは別として、とにかく時代にそぐわない税制が走り続けているということは否めません。

さらに、2023年6月の内閣府経済財政諮問会議で取り上げられた「経済財政運営と改革の基本方針2023(仮称)原案」(骨太の方針2023)にも、「退職所得課税制度の見直しを行う」という内容が盛り込まれています。

20年までの40万円控除の部分を高くしてくれるのなら「なんて……喜ばしい!」ですが、20年を超えた部分も70万円から40万円に引き下げられることがあれば、「なんて……嘆かわしい!」ですね。ご自身の老後資金に大きく関わりますので、今後の動向に注目してください。

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