はじめに

奇跡の復活で堂々の上方修正

深い谷のどん底まで突き落とされた三陽商会ですが、落ちるところまで落ちたなら、浮上するしかありません。リオープン、インバウンドの再開も追い風に業績は思いのほかスピーディに回復しています。

その兆しは、前年2023年2月期の本決算発表で、当初の予想値より上振れて着地したときから現れていました。営業利益においては当初1,900(百万円)の予想から17.6%も上振れした2,235(百万円)で着地しています。想定以上にコロナ禍からの回復が進んでいる様子が伺えます。

画像:三陽商会「業績予想と実績値との差異及び特別損失及び繰延税金資産の計上に関するお知らせ」より引用

注目されたのは、直近6月30日(金)に発表された2024年2月期第1四半期決算です。①売上高15,969(百万円)、②前年比+11.2%、③営業利益1,035(百万円)、④前年比+106.0%と好調のため、早くも上期と通期の予想を上方修正しました。

画像:三陽商会「第81期第1四半期決算短信」より引用

上期の営業利益は当初予想△100(百万円)から200(百万円)へ黒字転換、通期予想は2,400(百万円)から2,700(百万円)へ12.5%増額しました。

画像:三陽商会「2024年2月期第2四半期累計期間及び通期の連結業績予想の修正に関するお知らせ」より引用

好調の理由は、(1)人流やインバウンド需要の回復により主力の百貨店を始めとす る実店舗への集客が回復したこと、(2)設立80周年の記念アイテムを含む春夏プロパー商材が好調に稼働したことで、とくに同社のメイン販路である百貨店での売上の回復が業績を牽引しているようです。

予想を軽く超えていくほど好調な百貨店

どれほど百貨店の集客が回復しているかは、直近6月29日(木)に2024年2月期の第1四半期決算を発表した高島屋(8233)を見ればわかります。

画像:高島屋「2024年2月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」より引用

①営業収益105,557(百万円)、②前年比+4.2%、③営業利益11,038(百万円)、④前年比+66.4%。好調のため、こちらも上期、通期ともに上方修正を同時発表しています。決算短信には「コロナの収束傾向による社会経済活動の活性化もあり、入店客数が増加したことに加え、インバ ウンドを除く国内顧客売上高は、婦人服、紳士服、化粧品など、ファッション関連商品を中心に堅 調に推移いたしました」と、アパレルの好調を示す文面が掲載されています。

三陽商会の株価は、直近の業績が好調なこともあり右肩上がりで上昇トレンド形成中ですが、バーバリーとライセンス契約を結んでいた2015年以前には届いていません。

画像:TradingViewより

バーバリーなしでも株価を押し上げるような魅力あるブランドが育つかどうか、今後に期待したいところです。

※三陽商会は、2020年度から12月→2月決算に変更
※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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