はじめに
頭金を出すメリット
次に頭金を出すメリットについて見ていきましょう。
(1)利息負担が減る
頭金額を増やすと、住宅ローンの借入金額を減らすことができます。住宅ローンの返済には、利息の支払いも伴います。金利や借入期間など、その他の条件が同じ時、借入金額を減らすと利息額は小さくなります。
例えば借入期間35年、年金利2%(全期間固定金利、元利均等返済)とする場合、借入額を4,500万円から4,000万円に減らすと、およそ200万円の利息負担を減らすことができます。適用金利が下げられるケースもあります。
例えばフラット35であれば、頭金を10%以上出す場合、年0.14%程度金利が下がります(2023年7月現在)。
(2)諸費用の負担が減る
マイホームの取得に伴って必要となる費用には、例えば以下の様なものがあります。
・印紙税
・登録免許税
・司法書士報酬
・不動産取得税
・修繕積立一時金(マンション)
・仲介手数料
・印紙税
・融資手数料/保証料
・住宅ローン事務手数料
・物件検査手数料
・つなぎ融資費用(注文住宅)
・火災保険料
・地震保険料
なかには、登録免許税や融資手数料、保証料や住宅ローン印紙税やつなぎ融資費用など、住宅ローンの借入金額に影響を受けるものもあります。これらの費用の算出は借入金額にもとづくため、頭金額を増やすことで、負担を減らすことができます。
例えばつなぎ融資を利用して注文住宅を取得する際、頭金を増やし500万円借入額を減らすと、15万円程度諸費用を節約できます。
(3)万が一のときに手元に現金を残しやすい
もしも病気やケガ、急な収入減などにより、住宅ローンの返済が途中で難しくなってしまったら、マイホームを売却して住宅ローンを完済した上で現金化することも可能です。ただし、住宅ローン残高が売却価格を上回る場合、売却できないケースもあります。
住宅ローンの利息額は借入当初に負担が重く、総利息額のうち約半分を当初10年で支払います。先ほどと同様の条件で4,500万円借入れる場合、当初10年で支払う利息額はおよそ806万円で、返済額の合計は1,790万円ですが、住宅ローンは980万円程度しか減らず、住宅ローンの残高はおよそ3,510万円です。
頭金を500万円出し、借入金額を4,500万円から4,000万円に減らすことができれば、当初10年の利息額はおよそ90万円減らすことができ、10年後の住宅ローン残高はおよそ3,120万円となります。建物の価値は徐々に下がり、最終的に土地の価値に近づきます。頭金を増やすことで、返済途中の万が一のとき売りやすく、手元に現金を残しやすくなります。
住宅取得プランは長期で多角的な検証を
金利が低く、住宅ローン控除もある今、頭金を減らし借入金額を増やすメリットも確かにありますが、一面を切り取ったにすぎません。住宅取得に伴うトータルコストで見れば、マイナスとなるケースは少なくありません。
マイホームの取得という一大イベントはライフプランにおいて、さまざまなものに紐づいていきます。頭金を減らす影響を測るには、長期の視点で多角的な検証を行うことが大切です。