はじめに
マイホームの取得時に必要となる頭金の金額は、住宅ローンの借入金額に影響を与えます。マイホーム取得相談の際、どれくらい出せばいいのか、といった質問を筆者もよくお受けしますから、気になる方は少なくないようです。頭金を減らすことは、賢い資産活用となるのでしょうか?
今回は、頭金を出すメリットデメリットについて解説します。
頭金を出すデメリット
まずは頭金を出すデメリットについて見ていきましょう。
(1)手元のお金が減る
頭金は諸費用を除き、マイホームを取得する際に必要となる、住宅ローンでまかなわない部分のお金です。つまり、ご自身の貯蓄を取り崩して調達しますから、頭金を出すとご自身の手元のお金が減る、ということとなります。
生活する上で、近いうちに予定されている支出への備えや、万が一の緊急生活資金の備えなども必要です。頭金を出しすぎてしまうと、万が一の備えが減ったり、必要な支出をまかなえず、新たな借入を招く可能性もあります。
(2)住宅ローン減税額が減る
住宅ローン契約者が取得から最大13年間利用できる住宅ローン減税は、基本的に年末の住宅ローン残高にもとづいて還付額が計算されます。頭金を増やすということは、住宅ローンの借入金額が減るということですから、住宅ローン減税による還付額が減ることにつながります。
とはいえ、ご自身の支払う税金額を超えた還付は受けられませんし、減る税金の還付額は頭金100万円あたり7,000円程度です。
(3)出し方によっては贈与税がかかる
頭金の出し方によっては、贈与税がかかるケースもあります。
例えば、住宅ローン契約者とマイホームの名義を夫のみとする場合、妻の銀行口座から頭金を支払ったり、親の口座から支払ってもらったりすると、贈与と見なされます。贈与税には贈与を受けた人ごとに年間110万円の非課税枠がありますから、必ずしも贈与税がかかるわけではありませんが、頭金を支払う口座名義は住宅ローン契約者とそろえるなどの準備が必要です。