はじめに

株価は実態を先読みして動く傾向あり

藤川:ほかに、短期的に株価が上がる例としては、「サプライズ決算」や「増配や優待拡充」などが挙げられます。

有野:サプライズ決算ってなんですか? さっきの「関連」もので急に上がってビックリしちゃったから、決算やっちゃえとか?

藤川:そんなに期待されていなかったのに、フタを開けてみればいい決算でした、というケースがサプライズ決算です。ちなみに、「いいサプライズ」もあれば、「悪いサプライズ」もあります。好決算が期待されていたのに、実はよくなかったケースですね。

有野:ゲームでも、「満を持しての続編が出た!」って、すごく期待されてたのに、発売されたらそこまでおもろない、ってことがたまにありますよ。

藤川:株式相場も、まさにそれと同じことがよく起きます。多くの投資家が「めちゃくちゃいい決算になる」と期待していたのに、「悪くはないけど、期待ほどじゃないよね」という内容だと、たとえ増収増益でも株価が下がることがあるんです。期待外れというやつですね。それに気付けないと、「増収増益なのに、なんで株価が下がるの?」ってなっちゃうと思います。

有野:でも、投資家が期待してるかなんて、どうやってわかるんですか? 株価の動きがわかるみたいに、企業向けに投資家の期待値を見るサイトがあるんですかね。

藤川:投資家の期待を予測するのは簡単ではありませんね。なので、短期的な株価の予測って、すごく難しいんです。

有野:じゃあ、株なんて買えないじゃないですか。損するかもしれへんわけだし。

藤川:実は、ここまでのお話しは、すべて「短期的な」値動きについてなんです。

有野:長期では違うってことですか?

藤川:では、長期的に株価が上下する理由は、いったいなんだと思いますか?

有野:業績でしょ。

藤川:正解です! 株価は、短期的にはさまざまな要素で大きく上がったり下がったりしますが、長期的に見れば、業績に収束すると言われています。ガンホーの業績は、2014年12月期にピークを迎え、その後はパズドラに続くヒット商品を生み出せず、業績も縮小しています。だから、株価もズルズルと下がり続けました。もし、パズドラのほかにヒットゲームを開発できていれば、株価がここまで下がることはなかったかもしれません。

有野:一発ギャグでドーンと有名になった芸人とおんなじ感じですね。その後もう一発、もう一発……って、6発屋芸人にまでなるやつおらんかな。同業者としては、あんまり一発屋って単語は使いたくないねんけど。

藤川:もう1つ面白い点を挙げると、ガンホーの業績のピークは2014年12月期ですよね。その決算が発表されるのは、だいたい翌年の2月頃なんですが、決算の発表を待たずに、株価は2013年の半ば頃から急落しています。

有野:ほんまや。なんかボロが出始めたってことですか?

藤川:実は、株価はだいたい実態よりも半年から1年程度、先読みして動くケースが多いんです。業績の発表って年に4回、つまり3ヵ月に一度行われるんですけど、ガンホーの場合はパズドラ人気のピークが過ぎているのに、新しいヒットゲームを生み出せていなかったので、業績が最盛期を迎えるよりも前に、株価が下げに転じました。

有野:でも、業績は悪いどころか、上がってるんですよね? なんで下がるんやろ。

藤川:株価って、ずっと上げ続けることも、ずっと下げ続けることもないんです。長期間上がっていたとしても、いつかは下がる。ガンホーのケースでいえば、ずっと株価が上がり続けていたので、「そろそろパズドラに飽きる人が出そう」とか、「そろそろ下がるかもしれないから、株価が高いうちに売っておこう」と考える人が、徐々に増え始めるんです。

有野:なるほど~。どこかで下がり始めるやろうから、「今のうちに売っとけ!」ってなるわけか。

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