はじめに

日本の不動産投資市場は、時代や経済の変動に影響されにくい、堅実な資産として長らく多くの投資家から注目されてきました。不動産は長期的な資産価値の上昇が期待される投資先であり、不動産への投資を行うことで、長期間のキャピタルゲインを追求することができます。

堅実なリターンを追求するなら、不動産投資は選択肢の1つになるかもしれません。

ただ、「不動産投資って、難しそう……」と思っている方もいるでしょう。たしかに不動産投資をするとなると、物件を選ぶ目も必要ですし、大きなお金も必要です。利回りを考えたり、ローンを組んだり、購入手続きや不動産会社とのやり取り、借り手がつくか、物件のメンテナンスなど、さまざまな知識や手間暇がかかると言えます。

そこで、手軽に投資できる不動産投資信託の「J-REIT(Jリート)」が投資先として選ばれることも増えてきました。2024年から始まる新NISAの成長投資枠でも投資可能なJ-REITについて、投資を検討する際のポイントや、その魅力を解説していきます。


J-REITとは

「J-REIT」はJapan Real Estate Investment Trustの略で、REITは不動産に特化した投資信託のことを指します。もともとはアメリカで生まれたものですが、REITのなかで日本の制度にのっとったものがJ-REITということです。

複数の投資家から集めたお金を資産運用のプロが不動産を所有・運営することで運用し、運用によって得た利益を投資家に還元する金融商品です。具体的には、オフィスビルや商業施設、住宅、ホテルなどの不動産を所有・運営し、運用によって得た利益を投資額に応じて投資家に分配する仕組みです。

資産の運用や保管などは、外部の専門家に委託することが義務付けられていることも特徴です。J-REITの市場全体の運用資産額は約26兆円、市場時価総額は約16兆円となっています。

J-REITの魅力

ここからは、J-REITの魅力について見ていきます。

(1)安定した収益性
J-REITは、不動産を保有・運用することで得られる賃料収入を投資家に還元します。そのため、経済の波に左右されにくい安定した収益が期待できます。また、多様な物件(オフィス、商業施設、物流施設など)への投資が可能で、多数の不動産を保有しているため、特定の物件に依存するリスクが低くなり、リスクの分散も図れます。

つまり不動産は、株式などに比べて価格の変動が小さいと言われており、安定した収益を期待できる投資先として注目されています。

(2)分散投資につながる
2022年に一般社団法人不動産証券化協会が行った「J リートの分散投資効果の実証分析について」によれば、「債券と株式のポートフォリオに J リートを 2 割から 3 割組込むことで、 同じ利回りを確保しながらリスク(標準偏差)を 10%以上削減できる分散投資効果を確認し た」とのことで、ポートフォリオに組み込むと分散投資につながることが期待されるでしょう。

不動産投資は高額な初期投資が必要ですが、J-REITならば少額から投資を開始できます。少額から始めることができ、投資の専門家に運用を任せることができるので、一般の投資家でも簡単に不動産投資を実践し、ポートフォリオに組み込むことができます。

(3)目論見書があり透明性が高い
J-REITは、上場している会社型の投信で、分配金の透明性が高いことが魅力です。新規上場したり、公募増資をしたりする際には目論見書も作成されます。財務状況や運用状況を公開する義務があり、目論見書を見ることで投資家は十分な情報を基に投資判断を下すことができます。目論見書については、以前の記事も参考していただけると幸いです。

(4)税制上のメリットと利回りの高さ
J-REITは決算期には、配当可能利益の90%超を分配するなど、法人税特定の条件を満たすことで、法人税を非課税とすることができます。これにより、運用効率が向上し、投資家への還元率も高まります。また内部留保もないので、投資家にとっては多くの分配金を受け取ることができます。

これにより、J-REITの魅力は分配金が高いことも挙げられます。年利回りが4%を超える商品が多く、年2回分配金が支払われるのが一般的です。

(5) 新NISAの成長投資枠で買える
NISAは、一定の資産を非課税で運用できる制度です。2024年から始まる新NISAの成長投資枠では、特に成長が期待される資産への投資を奨励しており、基本的にJ-REITもその対象となっています。高利回りのJ-REITが多いため、非課税の恩恵も大きいと言えます。

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