はじめに
「トライ&エラー」を繰り返して勝ち方を見つける
有野:じゃあ、「デイトレでやる」って決めたら、デイトレだけをしたほうがいいってことですか?
藤川:「この銘柄はデイトレ」「この銘柄は中期投資」と、スタンスをトレードによって使い分けるのは全然アリです。ただ、「この銘柄はデイトレでやろう」と決めて買ったのなら、その日のうちに売るようにすべきですね。
有野:前回習った、寝てる間に「リーマン・ショック」起きたらどうすんの、ってやつですね。よし、まずはモニターたくさん買うとこから始めてみよか? あ、その前にドバイに引っ越さな! でも、そんなにモニターをたくさん並べても、何を映したらいいんですかね?
藤川:知識も経験もゼロの状態から、いきなりデイトレは厳しいかも。
有野:ですよねぇ(笑)
藤川:有野さんは、「さまざまなブームとかヒット商品に触れることが多い」という強みをお持ちなので、それを活かして中期投資から始めるのがよさそうな気がします。が、何事も経験ということもありますから、少額でデイトレをしてみるのもいいかもしれません。銘柄にもよりますが、最低単位の100株なら、失敗しても数千円程度の損で済むはずです。
有野:数千円なら、ゲームソフト一本分か。でも、やっぱり損はしたくないなぁ(笑)
藤川:私の経験上、投資スタンスや売買のやり方などを自分でしっかり決めている人のほうが、投資の成績はいいですね。少し上手く行かなかったからと、コロコロとスタンスを変えるようでは、なかなか自分に合ったスタンス、投資手法を見つけることは難しいと思います。
有野:株は「ミスったら待たずに次!」やけど、スタンスは変えるな、か。難しいなー。変えるのがよくないなら、自分に合ってないやり方を続けることになるかもしれませんよね?
藤川:その可能性はありますね。とりあえず、瞬間的な判断力が必要なデイトレではなく、ある程度、時間に余裕を持って銘柄を探すことができる「中期投資」あたりから初めてみるのがいいでしょう。これは株式投資についてだけのことではありませんが、大事なのは「トライ&エラー」。
有野:ゲームでもよく使う言葉です。昔のゲームはやられたらスタート地点まで戻されるから1機をすごく大事にしてたけど、今のゲームはオートセーブ機能があって、やられても戻し作業がないから、若い人はバンバンやられて、何度もトライするんですよね。エラーを恐れて進めないより、何度でもトライするのが大事、って事ですかね。でも、失敗は怖いなぁ。
藤川:失敗してしまった場合、「なんで失敗したのか」を考え、次は同じ失敗をしないようにすることが大切なんです。もちろん、失敗ばかりだと嫌になっちゃいますので、買った銘柄の株価が上がったら、数千円でもいいので、利益を確定する「利食い売り」をしてみるといいかもしれません。
有野:失敗してへこんでいる暇はない、ってことか。ゲームでも、戻し作業が怖くてエラーしたくない世代なんですよね。だから、ボス戦とかで「こういうやり方で負けたから、次は違う方法でやってみよう」ってなります。でも1番の理想は安全地帯を探してそこからの攻撃です(笑) そのためのトライ&エラーは苦じゃない。
藤川:トライ&エラーを繰り返していくことで、次第に「勝てるやり方」がぼんやりと見えてきます。それを繰り返して、勝てる確率が高いやり方を見つけるんです。それさえ見つけることができれば、投資家として一人前。もう勝ったも同然です。
有野:勝てる確率が高いやり方か、例えば「夏だったらアイスが売れるから、アイスを売ってるとこ買えば勝てる」とか、そういうことですか?
藤川:夏ならアイスやビール、エアコンなど、冬なら暖房機器やウィンタースポーツ関連の銘柄が実際に買われたりします。季節性が絡む銘柄を「シーズンストック」と呼び、猛暑や厳冬など、通常より暑さ寒さの度合いが激しいと、シーズンストックの注目度が増して、株価が上がることはよくあります。
有野:暑ければ暑いほどアイスが売れるからか。よっしゃ、もう勝ち方見つけた!
藤川:もっとも、「暑ければアイスが売れる」のは、誰もが知っていること。株式投資は、まだ他の投資家が知らないうちに、先行して買うことができれば大きな利益が期待できますが、大半の投資家が知っている情報だけでは、そこまで大きく勝つのは難しいんです。
有野:なーんだ、勇み足だったかぁ〜。