はじめに

「人生100年時代」のちょうど折り返しとなる50代。会社員の方は、そろそろ定年という文字が視界に入ってくるでしょう。

今回は、50代の方のNISA、iDeCoの活用法について考えていきます。


働くことを考えるタイミング

人生の後半期はごくわずかの例外を除き、ほとんどの場合で就労収入を得られなくなり、定額の年金と資産の取り崩しで生活を賄うことになります。

これから必要なお金が詳細に把握できるのであれば、資産の取り崩しは何の問題もありません。計画通りお金を使っていけば、計画通りお金がなくなります。しかし、大きな病気をするかもしれない、認知症で介護が必要になるかもしれない、何より何歳まで生きるかわからないという状態の中で、ただただ資産を取り崩すのは恐怖だと多くの方がおっしゃいます。

資産の取り崩しというものは、お金の寿命が尽きるのと身体の寿命が尽きるのと、どちらが先になるか分からない不安と常に向きあうことのようです。身体の寿命が先に尽きるのであればよいのでしょうけれど、お金の寿命が先に尽きてしまうと、それは老後破綻を意味します。

だとすると、50代でどこまで稼げる自分を維持できるのかが、とても重要になります。就労収入が得られるということは、資産の取り崩しをまだ開始しなくてもよい、ということになるからです。

なにも今の年収をそのまま維持する必要はありませんが、気持ちと体力に合わせた働き方をできるだけ長く継続する−−50代はそれを模索する大事な時期と考えます。定年なんてまだ先と先送りせず、早め早めに取り組みましょう。

会社員の方なら、まず「定年後の自分のあり方」をしっかり考えましょう。働くのか、働かないのか、今の会社で勤めるのか、別の働き方を選ぶのかなど、さまざまな選択肢があるでしょう。これまで転職経験がないという方は特に、ご自身の実力も踏まえ、今までとは異なる働き方ができるのかどうか想像してみましょう。

筆者はフリーランスとして20年以上ひとりで仕事をしているので、「定年」という概念はそもそも持ち合わせていないのですが、同年代が定年を間近に控え、「フリーランスはどのように仕事を得ているのか」と、かなりストレートな質問を受けることが多くなりました。フリーランスはなんとなく自由度が高く気楽な仕事と思われるのか、「宮仕えが終わったらフリーランスになりたい」とおっしゃる方もいるくらいです。

組織に属さない生き方は気楽に思われるかもしれませんが、フリーランスはフリーランスでなかなか大変なものです。収入を得ることに着目すると、さらにその難易度は上がると考えた方がよいでしょう。会社組織の役割を全部ひとりでこなすことになりますから、どんなこともいとわず、チャレンジ精神で取り組むことができるかどうかなどといった、ある種の適正は不可欠です。

いずれにしても、会社員の定年は必ずやってくるので、ご自身のキャリアの棚卸し、および学びなおしも含め、これからの働き方をしっかり考えましょう。

筆者のようなフリーランス、あるいは自営業の方も定年がないからと、のんびり構えていてはいけません。自分が世の中から求められるサービスを提供できる状態でいるのか、いつまでそれが可能なのか、シビアに見積もりましょう。新しいビジネスに取り組むのも、もしかしたらそろそろラストチャンスかもしれません。

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