はじめに

日本人の平均寿命が100歳になるのはいつ?

2022年時点の日本人の平均寿命は、男性が81.47歳で、女性が87.57歳です。

次に、内閣府が2022年に発表した高齢社会白書によると、国立社会保障・人口問題研究所が公表した「日本の将来推計人口」における出生中位・死亡中位仮定による推計結果では、2065年の日本人の平均寿命は男性が84.95歳、女性が91.35歳と見込まれています。

今が2022年だとすると、その23年後でもまだ男女ともに平均寿命100歳にはほど遠いのが現実です。仮に平均寿命まで生きるとして逆算すると今、男性で62歳前後、女性で68歳前後の人は、恐らく人生100年時代を想定した資産形成は必要ないとも考えられます。

では、日本人の平均寿命が100歳になる日はいつのことなのでしょうか。

もちろん、それにはさまざまな要因が絡んできます。医療や予防医学が今後どの程度発展するのか、生活習慣や食事、栄養事情はどこまで改善されていくのか、疫病や戦争、自然災害で大勢の人が亡くなるような状況は起こるのか、といったことによって、平均寿命が今後、どの程度まで伸びるのかは変わってきます。

このように、あまりにも漠然としたものなので、日本人の平均寿命が100歳になるのはいつなのかを、正確に把握することはできません。国際連合が発表した世界人口予測によると、日本人の平均寿命は2100年の時点でも、男性が88.1歳、女性が94.9歳とされています。今から77年後でもまだ、日本人の平均寿命は100歳に達していないのです。

そう考えると、「人生100年時代の資産形成」などというものは、まったくもってどうでも良いことのように思えてきます。

ただ統計上、人の寿命は平均値に比べて中央値、最頻値の方が高く出る傾向があります。寿命の最頻値とは、各年齢の死亡者数で最も数の多い年齢です。

これは大森武さんという、高校で数学などを教えていらっしゃる先生が算出し、それを「note」に書いていたものですが、2019年の平均寿命が男性81歳、女性87歳であるのに対し、最頻値は男性が88歳、女性が92歳になるということです。

男性の平均寿命が、2022年の実数から2100年の予測値までの78年間で6.7歳の伸び、女性が7.3歳の伸びですから、これをそのまま2019年の最頻値に当てはめると、78年後の寿命の最頻値は、男性が「88歳+6.7歳=94.7歳」、女性が「92歳+7.3歳=99.3歳」になります。

この数字を見ると、平均値ではまだまだ遠く及ばない100歳ですが、最頻値で見れば、ひょっとしたら女性は100歳で亡くなる方が最も多いという時代が、2019年から78年後の2097年以降には、実現するかも知れません。

こんな人のアドバイスを聞く必要はいっさいありません

そんなわけで、今から人生100年時代に備えて一所懸命に資産形成をするのは、全くのナンセンスです。

もちろん、今「オギャー」と生まれたばかりの人であれば、ひょっとしたらその赤ん坊がお爺さん、お婆さんになる時に備えて「人生100年時代の資産形成」が必要になるかも知れません。が、恐らく今、社会人として生活している大半の人にとって、それは全くもって不要であると言い切っても良いくらいです。

ライフプランをアドバイスする人たちの中には、「これからは100歳まで生きることを前提にしてライフプランを策定する必要があります」などとおっしゃられる方もいるようですが、「本当に大勢の人たちが100歳まで生きられる時代が来るのかどうか」という疑問に対する見通しを示すことなく、どこかの権威者の言葉を鵜呑みにして、「人生100年時代の資産形成」などというお題で話したり、書いたりしているような人のアドバイスを真に受ける必要は、いっさいありません。

この記事の感想を教えてください。