はじめに

生活費は1カ月平均46万40000円~47万1000円

よその家庭の懐事情は、外からはなかなかわからないものです。それでも、収入や貯蓄に比べれば、支出はわかりやすいと言えるでしょう。

それは、食べているものや身につけているもの、外出先などで、ある程度の察しがつくからです。特に、贅沢な支出ほど目立ちます。こだわりの食材やブランドバック、海外旅行などは支出額もわかりやすいでしょう。

50代夫婦であれば、見栄の張り合いなどに巻き込まれる人は少ないと思いますが、家庭の価値観を大切に、メリハリのある支出を心がけることで、浪費を防ぎつつ満足感のある暮らしを実現できるでしょう。

総務省の「2019年全国家計構造調査家計収支に関する結果」によれば、都内で暮らす50代夫婦の平均生活費は、50代前半で月46万7000円です。

食料費がそれなりにかかっているのは、舌が肥えているだけではなく、健康を意識してのことかもしれません。また、食べ盛り世代の子がいれば節約ばかりもしていられないでしょう。子のための教育費がかかっていますが、大人のための教養娯楽費にも支出をしていることから、充実した暮らしぶりが見えてきます。

そこから一転、50代後半になると、それまで右肩上がりだった収入が減ってきます。そのため支出もスリムにしていく必要がありますが、都内で暮らす50代後半夫婦の生活費は、平均で月47万1000円。収入とは逆に、50代前半よりも増えています。

毎日支出する食費は、節約を意識してのことか50代前半よりも少なくなっています。同様に、住居費、教育費、教養娯楽費も減っています。しかし、その他の支出は同じか増えていて、特に「その他」が増えていることに注目です。まさに、「節約しているのに、なんだかんだで結局支出は減っていない」という状態ではないでしょうか。

では、その他の支出は具体的にどのような支出なのか、詳しく見てみましょう。

理美容サービス、理美容用品は、ヘアサロンやエステ、化粧品、シャンプーなど。身の回り用品は、バッグやアクセサリー、腕時計などです。これらの支出は、50代前半より後半で若干増える傾向ですが、さほど大きな違いではありません。

他の諸雑費は、冠婚葬祭費用や寄付などです。家族の結婚式や葬儀が、1万円前後でできるわけではありませんが、平均値では50代前半で9000円、後半で1万2000円です。このことから、50代前半より後半のほうが、こういった費用が掛かりやすい世代であることがわかります。

50代後半で、グッと増える支出は、こづかいと交際費です。子どもが社会人となれば仕送り金は少なくなり、その分自分たちが自由に使えるお金を増やしたくもなりますが、実際は仕送り金の減少額よりも増えていて、全体としては50代後半の支出は増えています。

50代後半は、収入が減りはじめはするものの激減ではないので、これでもなんとかなるでしょう。しかしリタイア後に備えて、早めに家計の見直しをしていくことが大切です。
平均額から見ると、50代後半世代の月の貯蓄額は、約14万円。子どもの独立後は、最後の貯め時とも言われます。しっかり貯蓄を増やしていきたいですね。

計画的な貯蓄には積立タイプがおススメ。

2024年から新しくなるNISA(ニーサ、少額投資非課税制度)は、少額からでも始めやすく、投資による利益が非課税なのでおトクです。NISAで購入できる投資信託などの金融商品は、投資初心者でも比較的安心して投資できるものに絞られています。貯蓄ではなかなか資産を増やせないなか、投資も取り入れてみてください。

50代は自らのセカンドライフが視野に入りつつ、子どもの成長・独立や、親の医療・介護の必要性など、周囲の環境が変わってくる時期でもあります。自分も家族も納得できる選択ができるよう、まずは足元の家計から見直ししてはいかがでしょうか。

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