はじめに

生活費が不足した場合に頼れる制度

ここまで紹介したように、老後生活を年金だけで暮らすと、毎月2万円程度の不足が生じています。そのため、できれば定年退職後も仕事を続け、収入を得る手段を持つことをおすすめしますが、体況などの理由で働けない可能性もあります。

最終的に生活費が不足したときに頼れる制度には、生活福祉貸付や生活保護 があります。

生活福祉貸付
生活福祉貸付とは、各都道府県の社会福祉協議会が行っている、低所得世帯や障害者、高齢者に向けた貸付制度です。

そして、高齢者が利用できる貸付には、以下の3つがあります。
・生活支援費
・住宅入居費
・一時生活再建費

生活支援費は生活を再建するまでの間に必要な費用で、2人以上の世帯では月20万円以内、単身世帯では月15万円以内を借り入れられます。利子は年1.5%ですが、保証人をつけることで無利子になります。ただし、貸付期間は原則として3ヶ月となっており、10年以内に返済しなければなりません。

住居入居費は、家の賃貸契約を結ぶ際に必要な費用や敷金、礼金を借りられるもので上限額は40万円以内に設定されています。

一時生活再建費は、生活を再建するために一時的に必要であり、かつ日常生活費で賄うことが困難な費用を借り入れられるものです。借り入れられる上限額は60万円で、住居入居費と同様に6ヶ月の据置期間を経過後10年以内で返済する必要があります。

●生活保護
生活保護制度とは、資産や能力など全てを活用しても生活に困窮する人に対し、その困窮の度合いに応じて必要な保護を行う制度です。

生活保護を受けるには、生活費に充てられる資産がないことや、働く能力がないことなどの要件を満たす必要があります。また、親族などから援助を受けられるなら、そちらを優先するよう求められます。生活保護で支給される保護費は、厚生労働大臣が定める基準で計算される最低生活費と収入との差額です。そのため、受給している年金額が最低生活費を超える場合は保護を受けられません。

生活保護を受けるためには、まず居住地を管轄する福祉事務所に相談する必要がありますが、生活に困窮しているなら相談し、保護の申請を行いましょう。

持ち家があるなら活用する方法も

貯金が全くなくても、家が持ち家ならそれを活用する方法もあります。

上で紹介した生活福祉貸付制度の中には、不動産担保型生活資金が用意されており、高齢者に向けた「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」を借りることができます。

借りられる金額は土地および建物の評価額の70%(集合住宅は50%)程度ですが、生きている間は利息のみを支払い、亡くなった際には担保として設定した自宅を差し出す仕組みです。保証人も不要で利用できるため、持ち家があるなら、考えてみてもいいかもしれません。

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