はじめに
10月4日(水)、日本の長期金利は大きく上昇し、一時10年ぶりの高水準となりました。背景にはアメリカでの長期金利の上昇を受け、日本でも長期金利の上昇圧力が強まっていることがあります。食費や光熱費、ガソリン代などあらゆる物の値上がりも続く中、変動金利型住宅ローンを契約されている方の中には、漠然とした不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このようなタイミングだからこそ知っておきたい、変動金利型住宅ローンのポイント5つを解説します。
【1】毎月返済額の上限を定めた「125%ルール」
まず知っておきたいのは「125%ルール」です。これは、変動金利型住宅ローン(元利均等返済)の毎月返済額の上限をそれまでの返済額の125%とする、という決まりです。
変動金利型住宅ローンは、名称のとおり、借入期間中に適用される金利が「変動」します。そのため、金利上昇により毎月の返済額が増える可能性がありますが、125%ルールの適用により、毎月返済額の増加幅にはそれまでの25%以下という天井が設けられています。
とはいえ、返済額がそれまでの25%増に抑えられるといっても家計への影響は必ずしも軽いとは言えません。例えば、月10万円の返済額であれば返済額が2万5,000円増えることになりますから、場合によっては教育費やその他の生活費等に影響が出る可能性もあるでしょう。対応するためにはあらかじめ家計にゆとりをもっておくことが大切です。
【2】返済額見直しタイミングを定めた「5年ルール」
「5年ルール」は、元利均等返済の場合、適用金利が上がっても実際の返済額を見直すのは5年ごととする、という変動金利型住宅ローンの返済額計算の決まりです。
金利には短期金利と長期金利がありますが、基本的に変動金利型住宅ローンは短期金利に連動した金利が適用されます。具体的には、日銀が発表する「短期プライムレート」を指標とするものが多いですが、その他の市場金利を指標とするものもあります。
短期金利は、長期金利と比較してめったに動かないという特徴があります。とはいえ、動く局面も確かにあります。
一般的に変動金利型住宅ローンの金利見直しは半年ごとですが、仮に半年ごとに金利が変動し、返済額も都度増減すればどうなるでしょうか。おそらく金融機関の事務手続き負担は増大し、家計は混乱することでしょう。そこで、金利変動時にも返済額の変動頻度が増えすぎないよう、導入されているのがこの「5年ルール」なのです。
これにより、市場の金利変動のペースと返済額反映のペースにはタイムラグが発生します。あわせて前述の125%ルールが適用されるため、金利が上昇をつづける場面では未払い利息が発生する可能性もあります。この場合、元金は減りづらくなり、最悪のところ最後に返済が必要になるケースもあることは心に留めておきましょう。