はじめに
iDeCoとNISA、年収別の投資割合の目安は?
いよいよ本題です。ここまで読んでお分かりいただいている通り、毎月貯蓄できる金額全てをiDeCoとNISAに割り振っていくという話は現実的ではありません。
「日々出入りするお金」「5年、10年以内に使い道が決まっているお金」「10年超の将来のためのお金」に分ける必要があります。そして「10年超の将来のためのお金」を準備するために、iDeCoとNISAを活用することになります。
まずは年収で考えるよりも、年齢でどちらを優先するかが決まってくるでしょう。20歳代、30歳代、40歳代であれば、iDeCoを優先するよりも、引き出し制限のないNISAを利用しておく方が、さまざまな資金用途に活用できます。
50歳代であれば、将来のお金といえば「老後資金」になりますし、年収が生涯で一番高い時期であることが予想されるため、所得控除の効果が得られるiDeCoを優先するメリットが大きくなります。もちろん、毎月貯蓄できる金額が多いならば、iDeCoとNISAを併用した方が良いです。
その上で、年収別で考えてみます。前提条件は以下の通りです。
・企業年金のない会社員とする。iDeCoの毎月の掛け金上限額は2万3000円
・生活費の6ヶ月~1年分の預貯金はあるものとする
同条件によれば、
・年収441万5385円~649万2307円は、所得税率10%
・年収649万2308円~800万円は、所得税率20%
年間27万6000円(月2万3000円)をiDeCoで積み立てる場合、
年収400万円~441万5384円は、年間で4万1400円が節税できます。
年収441万5385円~649万2307円は、年間で5万5200円が節税できます。
年収649万2308円~800万円は、年間で8万2800円が節税できます。
毎月、「10年超の将来のためのお金」に積み立てられる金額が5万円以上ある場合は、iDeCoを掛け金上限額いっぱい積み立て、残りをNISAという形に落ち着くかなと思います。今回の条件の場合は、2万3000円がiDeCo、2万7000円がNISAとなり、比率は46%、54%と半半です。
毎月3万円という水準の場合、所得税率20%以上であれば、節税効果の高いiDeCoを上限いっぱいで残りをNISAが良いでしょう。
所得税率が10%以下の場合は悩ましいところです。iDeCoを上限いっぱいで残りをNISAでも良いですし、月1万円はiDeCoで2万円をNISA、月1万5000円ずつ投資という形も良いとは思います。NISAだけを活用するという手もありますが、リスクを冒さずに手に入る節税金額を手放すのは勿体無いかなと思います。
会社員や公務員の場合、iDeCoの掛け金上限は1万2000円~2万3000円なので、iDeCoをフルに活用しても、NISAにも投資できる余力はあることでしょう。毎月の貯蓄金額に余力があるならば、併用する道を探っていくのが良いと考えます。iDeCoの節税で浮いた金額をNISAでの投資に回していけば、お金が増えるスピードは加速していくことでしょう。
改めて、iDeCoとNISAは万能ではありません。ここまで説明してきた通り、「目的別に分けて、適した金融商品・制度で貯める」観点と年齢の観点を優先し、次点で年収の観点を取り入れて、投資割合をご判断いただければと思います。