はじめに
好調の要因はセール価格での販売減少か
好調の理由は、第1四半期時と同様
1. 人流回復やインバウンド需要の拡大により主力の百貨店を始めとする実店舗への集客が順調に回復したこと
2. 設立80周年の記念アイテムを含む春夏プロパー商材が好調に稼働したこと
売上が増加したことに加え、プロパー販売比率の拡大により、営業利益が伸びているという理想的な形です。最近、わたし自身も洋服をセールで買うより、プロパー価格で買うことが多くなりました。”セールになるまで待つ”、”セールじゃないと買わない”といった消費者心理にも変化が出ているのかもしれません。
利益率向上のための具体的な施策としては、「QR体制」の実行があります。QRというのは「クイック・レスポンス」の略で、アパレル産業を中心に行われているサプライチェーン管理手法の一つ。三陽商会では、20パーセントプール制というルールで、従来はシーズンの初めに100パーセント一括発注で仕込んでいたものを、見込み発注は計画に対して80パーセントで、20パーセントは保留枠として期中対応にまわすことを徹底しています。その20パーセントの保留枠によって、シーズンものでも不要なものは仕入れずに済み、逆に売れ筋のものは補充できるため、売れ残りが出づらくなります。よってセール価格での販売が減少するといった好循環となります。
実際、第2四半期の営業利益率は、前期と比べて3.8%も改善されていますので、効果は適面です。また、直営店や百貨店ではプロパー販売に徹し、未消化品はアウトレットに移動してセール販売するといった役割分担を明確にしたことも、全体的なプロパー販売率の上昇につながっているようです。
決算発表は、10月6日の午前11時に行い、その直後から株価はぐいぐい上がり、当日はストップ高で終了。その翌営業日の10月10日も14.6%上昇しており、その後も市場が荒れる中、値を保っています。
画像:TradingViewより