はじめに

好決算だけじゃない、株価が堅調なもう一つの要因

株価が堅調な理由は、好決算だけではなく、もうひとつ同時に発表された「PBR(株価純資産倍率)改善計画」にあります。2023年になって、東証がPBR1倍割れの企業に対して、企業価値を向上させるよう再三、忠告しています。三陽商会は、23年2月実績でPBR0.55倍と残念な状況。1倍超えには、かなり距離があります。そこで、改善策として、2025年2月期までに具体的な数値目標を上げました。

1. ROE(自己資金利益率)8.5%
2. 営業利益43.8億円
3. 営業利益率7%
4. DOE(株主資本配当率)4%

細かい説明は省きますが「PBR(株価純資産倍率)=ROE(自己資金利益率)×PER(株価収益率)」の計算式で成り立ちますので、ROEが改善されれば、必然的にPBRも向上します。また、利益率が上がり、営業利益が増加すれば、投資家からの評価であるPERも上昇するので、こちらもPBR上昇に寄与します。

DOEというのは「Dividend on equity ratio」の略で、株主資本に対して、どの程度の配当を払っているかを表します。要は、株主還元の状況を表す指標です。通常は、当期純利益に対する配当額をあらわす配当性向が使われますが、当期純利益は変動幅が大きいため、最近はDOEを採用する企業が増えています。

三陽商会の2024年2月期は、DOE3%で予想配当額は88円。2025年にDOE4%が達成できれば、配当は126円が見込めます。かなり魅力的ですね。

上期も十分に好調でしたが、三陽商会の本番は下期にあります。単価の高いコートなど冬物衣料の売上がどれくらい伸びるかで、業績の見通しは変わります。

2023年は、夏がしぶとく居座り、9月でも半袖で十分な気温でした。そのため9月の月次売上は、芳しくありませんでしたが、10月に入り、急激に気温が下がったため、前年を越える水準まで回復しているとのこと。天候頼みというのは心もとないですが、コートの出番が頻出する冬らしい冬となれば、業績の見通しは日本晴れ! 株価も一段上を目指すことになるかもしれません。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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