はじめに
年末調整で受けられる所得控除の中身
先に紹介した所得控除のなかで、「基礎控除」は納税者本人に適用されます。しかし、合計所得金額が2400万円を超えた場合、控除額が徐々に少なくなり、2500万円を超えた場合は適用されません。
そして、家族構成や配偶者の収入に応じて扶養控除や配偶者控除、配偶者特別控除が適用されます。配偶者に所得がある場合、その所得金額によっては、配偶者控除ではなく配偶者特別控除が適用されます。また、社会保険料は毎月の給与から天引きされていますが、その全額が控除の対象です。
さらに、本人や家族が障害者である場合は、障害者控除が適用されるほか、加入している保険に応じて、生命保険料控除や地震保険料控除が適用されます。
生命保険料控除や地震保険料控除の適用を受けるためには、各保険会社から送付される「保険料控除証明書」が必要ですので、忘れずに準備しておきましょう。
これらの控除に関する情報は、年末調整時に配布される「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」や「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」、「保険料控除申告書」にて申告します。
年末調整で行えない場合は必ず確定申告を!
所得控除のなかには、年末調整で行えないものがあります。その代表的なものが「医療費控除」でしょう。年間に一定額以上の医療費を支払った場合は、その額を所得金額から控除できますが、適用を受けるには確定申告にて行う必要があります。そして、所得税額が再計算され、その差額が還付されるしくみです。
また、ふるさと納税も寄付金控除の対象ですが、年末調整では行えないため、「ワンストップ特例」を利用するか、ワンストップ特例の要件を満たさない場合は確定申告で行う必要があります。せっかくの控除を無駄にしないためにも、確定申告が必要か、必要ならどのような書類が必要なのかを事前に調べて準備しておきましょう。