はじめに
パターン4:子どもの独立後・リタイア後
子どもが独立し、子育てに関連する保障が必要なくなった場合、基本的には夫婦2人のときと同様となり、大きな保障を持つ必要はなくなりますが、次の2つのケースについてはしっかり準備しておいたほうがいいでしょう。
ケース1:自分や配偶者の介護の費用
生命保険文化センターが行った調査によると、介護の費用の月額平均は8.3万円、介護の期間は平均5.1年という結果が出ています。
介護に備える保険としては、終身保険などの主契約に「介護」の特約を付加する方法や、終身保険などの保険料の払込満了時点で介護保障に移行する方法などがあります。
保障の対象となる要介護状態とは、「寝たきり」と「認知症」の2つです。特に「認知症」と診断されると、預金だけではなく証券口座での取引なども一切できなくなってしまいます。これを口座凍結といいますが、事前に保険に指定代理請求人の届け出をしておくことで、保険金は指定代理請求人の口座に振り込まれ、受け取った人が自由に介護費用などに捻出できるので安心です。
ケース2:相続で子どもに財産を残す場合
保険を活用すると相続に便利な場合があります。相続時に遺族が受け取る保険金は、「非課税枠」が適用される場合があるからです。
その額は500万円×法定相続人の数で、4人家族の世帯主に万が一のことがあった場合500万円×3人=1500万円が非課税枠として認められます。
また保険金は受取人固有の財産と考えられ、事前に指定された受取人は他の相続人に相談することなく保険金を受け取れます。自分が渡したい人へ確実に財産を渡すために、生命保険を活用してみてはいかがでしょうか。
リタイア後の生命保険を考える場合は、上記2つのケースを考慮しながら死亡保険の中でも期間の定めがない終身保険を中心に備えることがおすすめです。
また、会社員の場合、リタイア後は手厚い社会保障がなくなってしまいます。そのため、退職前に保険の見直しを行い、保障に不足がないようあらかじめ準備をしておくと安心でしょう。
ライフステージに合った保険選びを
ここまで、生命保険を検討する際の、ライフステージごとに考慮したいポイントについてお伝えしました。生命保険における必要保障額は、その時々のライフステージや家族構成、収入によっても大きく異なります。そのため保険加入の際は、自分自身と家族の生活を改めて見直し、ライフプランを作成した上で考えることが大切です。
また、保険は一度加入したからといって終わりではありません。その時々のライフステージにあった保障を持ち、不必要な保険の保険料で家計を圧迫することがないように、保険加入後も定期的に見直すことも欠かさないようにしましょう。
【監修】伊達有希子/ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)